従業員43名「ほとんどが前科つき」
――立ち上げ後は順調にいったんですか。
廣瀬 ハローワークに募集をかけたら、ヤンチャな男の子たちがまあまあ来ました。私たちの先輩から「せがれがどうしようもないから預かってくれ」って紹介を受けることもあって、着々と人が増えていって。といっても4~5人ですけど、みんなでちっちゃい現場をこなせるぐらいにはなりました。
私はそういう子たちのご飯も作って食べさせて。みんな「今日は何のおかず?」とかいって夕食を楽しみにしてて。それが私も楽しくて、生きがいを感じたんですよね。これならまっとうな仕事を続けられるなって。
――現在の従業員数は何人くらいなんですか。
廣瀬 43名の社員がいます。ほとんどが前科つきですけど、前科前歴のない子も7人か8人います。
――受刑者支援の団体などから「社長、この人をお願いします」といった依頼は来ますか。
廣瀬 あります。それ以外にも、お父さん、お母さんが面倒見きれない子が来たり。その子はもう働いて7年ぐらい経ちますね。
――面接のために刑務所に出向くそうですね。
廣瀬 とりあえず、出所後にうちに来て働きたいって子には会いますね。会ったらなんとなくわかるじゃないですか。何回も会っていろいろ話して、「この子だったら大丈夫かな」と思えたら採用して出所日に迎えに行きます。
元ヤンならではの採用基準
――採用の基準は?
廣瀬 「それ、私だったらやっていたかな?」というのを常に考えています。例えば18歳でバイクを窃盗した子だったら、「私もやったな」とか。自分の彼女をレイプされて、その相手に暴行して捕まった子には「うん、分かるよ」って。理解できる相手だったら何度も面会して、その子をもっと知ろうとするし、共感できたら採用する。
ただ性犯罪に関しては完全にノーです。絶対にやらないし、分かり合えないから。
――出所した人には、しばらくの間は自宅敷地に建てたプレハブ小屋を住まいとして提供して、一定期間経ったら一人暮らしさせるそうですね。
廣瀬 出たばかりだと、また悪い子たちと絡んでそっちの道に戻るかもしれませんから私の監視下に置きます。ご飯もうちの家で食べさせますし。
――従業員になった人と衝突したり、たてつかれることはないですか?
廣瀬 たくさんありますよ。胸ぐらを掴まれて「オラア!」なんてのはザラだし、肋骨も折られたし、怖い思いをしたことはいっぱいありました。なんだったら犯されそうになったこともあるし。
写真=志水隆/文藝春秋
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