知らせを受けた母親が学校へ向かうと、トモコさんは保健室のベッドに寝かされ、リンパ部を冷やすための水袋を当てられていた。教師がうちわであおいでいたが、口の端には泡を吹いた跡があったという。
「練習中に体育館で倒れて、先輩に保健室まで運んでもらったようでした。トモコは過呼吸のようにぜぇぜぇと息をしていて、小刻みに震えてもいました。しかし近くにいた先生は『熱中症かな?』とそれほど深刻に捉える様子もなく、『救急車呼びます?』とこちらに聞いてきました。救急車を呼ぶより自分の車で病院に連れていった方が早いと思ったので、部活顧問に車椅子を持ってきてもらい自分の車まで連れていき病院へ行きました」
翌日には登校できたが、数日後に部活で再び倒れてしまった。母親が学校へ向かうと、今度はトモコさんがなぜかカーペットの上で正座していたという。
「保健室のカーペットに正座して、上体を丸めてダンゴムシのようになりながら『頭が痛い』と唸っていました。どうして床にいるのかとびっくりして聞いたら、先生は『本人がそこがいいっていうので』と。せめてベッドに連れてってあげてくれてもよかったと思うのですが……。この2回のことで、学校は子どもを守る意識が低すぎると感じました。トモコも先生に見捨てられている感覚があったと思います」
「お母さんが休めと言ったからって、なんで休むん?」
夏に3年生が引退して新チームになると、バレー部内でのトモコさんの立ち位置はますます悪化し、9月頃からいじめが深刻化したという。
「秋頃に一度、家族の用事があったので部活を休むようにトモコにお願いしたことがありました。しかし休みの希望を顧問に伝えた数日後、同級生に呼び出されて『お母さんが休めと言ったからって、なんで休むん?』と詰問されて泣いてしまったと話していました。日頃からトモコは学校で起きたことを話していたので知ることができました」
この件はほどなく収束したが、その日からトモコさんに対する部員の態度が厳しくなり、練習試合の集合場所や集合時間、お弁当がいるかどうかなどの連絡が届かないことが頻発するようになったという。試合の前日の夜に母親が教頭に問い合わせてトモコさんに伝えて練習試合への参加はできたが、試合中にも嫌がらせを受けた。
「点数係をしていたトモコを同級生が『休んだのにわかるん?』とからかったり、荷物を多く持たせたりしたんです。顧問に相談しても『仲良くやっているように見えます』と言われただけでした。しかしトモコは『先生、部活に来ないのによく言うわ。見てないくせに』と不満げでした」

