妻が600万円を持ち逃げ、不倫相手の夫を監禁しただけじゃない⋯《金嬉老事件》「朝鮮人差別と戦った男」の“あまりにさびしい”帰国後の人生(昭和43年の事件)

『高度経済成長期の日本で起きた37の怖い事件』より #10

英雄視された男の転落

 12月、釜山地裁は金に対し懲役2年6ヶ月を宣告。「性格障害者」という精神鑑定の結果を受け、光州市の治療監護所(日本の医療刑務所にあたる)に収容され、国内での金の人気は地に落ちる。

 出所後、望郷の念にかられた金は、母親の墓参りを理由に日本への入国を求めたが叶わず、2010年3月26日、前立腺がんのため釜山市内の病院で死去(享年81)。

 遺骨は本人の希望により、掛川市内の墓所に納められている。