藤田晋の人生を変えた「先輩の一言」
彼は私のことを「弟分」とでも思ってくれていたのでしょうか、私自身の将来について毎晩のように問い詰め、追い込んでくれたのです。
「俺の夢は、日本一のバーテンになることだ。で、藤田の将来の夢は何なんだ?」
そんなシビアな境遇で、のほほんと過ごし続けられるわけがありません。私は「起業家になる」という高校時代の夢を思い出すようになります。
高校3年生の進路選択で、音楽の道をあきらめたとき。実は、私は将来の夢を「ミュージシャン」から「起業家」へと密かに変更していました。
「俺は音楽のプロにはなれないけれど、経営のプロを目指す。将来、レコード会社を作るから、そこからお前をデビューさせるよ」
“アーティストの卵”の親友・竹内朋康君に、こう宣言していたのです。
実際、その夢に少しでも近づきたくて、大学は「経営学部」を選んでもいました。
しかし、学校をサボって留年したり、バイトに没頭したりしていても、経営者になれるわけがありません。恥ずかしい気持ちを押し隠しながら、私はバーのK先輩にこう打ち明けました。
「僕の将来の夢は……会社を創ることです」
「じゃあ、それに向かって何かやれ。今のままじゃダメだ。その夢に近づく何かを始めるか、さもなくばこの店に就職しろ!」
K先輩の言葉に背中を押される形で、求人情報誌『フロム・エー』を入手。そこで見つけたオックスプランニングセンター(現クラウドポイント。以降「オックス」と略します)でバイトを始めます。オックスは、表参道にある小さな広告代理店で、設立わずか4年目。社長も31歳と若く、職場は活気に満ちていました。
オックスでの業務内容は、なかなか過酷なものでした。
