「清掃やベッドメイキングで雇われていた30人くらいのパートさんは全員解雇して、中国人を雇用すると言ってました。1階にバーをつくって高級感を出し、ラブホテルは会員制にして中国人しか入れなくするとも。彼は『東京には夢と希望しかない』と言っていましたよ」

盗品の金塊を譲り受け逮捕!

 張氏が生まれた四十数年前、中国は一人っ子政策の真っ只中だった。当時は男児を望む家庭が多く、女児が生まれると殺されてしまうこともあった。だから、張氏の周りには女子が少なかった。

 当然、その影響は数十年後に現れる。張氏が結婚適齢期になった時、奥さん探しに大変苦労したのだ。素敵な女性がいても何人もの男性が声をかける。競争が激しすぎて、金や家がなく、インテリでもなかった彼は相手にもされなかった。

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 だから日本に来て、時折、日本の女性に優しくされたり、微笑まれたりするだけで嬉しくて仕方がなかった。張氏にとって、日本人女性は高嶺の花だった。日本人男性のようにモテたいと思って、仕事を頑張った。

「張さんは何度もだまされたり失敗したりもしたみたいです。でも人柄はよくて、きれいな日本語を書きましたよ」(西村氏)

筆者の吉松こころ氏 ©文藝春秋

 結局、結婚相手は、日本で知り合ったフィリピン人女性となったが、日本で三田ガーデンヒルズを買えるくらい事業は成功していた。

 中国本土の景気はこれからどうなるかわからない。だから張氏は資産を東京の不動産に少しずつ組み換えている。東京の不動産は絶対に下がらないと確信しているからだ。本業がうまくいかなくなっても「東京の不動産だけは手放さない」という。これが日本で不動産を購入する中国人たちの共通認識だ。ちなみに私は張氏への直接取材を試みたが叶わなかった。決済の翌日、盗品の金塊を譲り受けた疑いで逮捕されていたからだ。しかし、これは後に無実と判明した。

次の記事に続く 「今日見られてラッキーね」香港の不動産投資家がこっそり耳打ち…94億円の豪邸に住んでいた世界的企業のトップとは誰か!?