令和の不動産バブルはいつまで続くのか。都心部の中古マンションの価格は2021年から4年の間に、なんと1.5倍ほどになった。中には3倍近く高騰した物件もあるという。10億円を超えるような高額な物件を購入しているのは、主に香港や台湾の富裕層だ。

 彼らはどうして日本の不動産を欲しがるのだろうか? ここでは、20年以上にわたり不動産業界を取材してきた吉松こころ氏の『強欲不動産 令和バブルの熱源に迫る』(文春新書)より、100億越えの香港の豪邸を次から次へと内見していく場面を紹介する。

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30年間で初めての物件が続々と売りに

「ピーク・ロード」(香港島に連なる山の頂上へとつながる道で、一帯には富裕層が多く住む)の中腹から上、ミッドレベルで見た不動産はとにかく桁違いだった。すべて一軒家で、価格は、日本円で235億9200万円(坪単価1億6761万円)や、192億6680万円(坪単価1億6467万円)……安くても、70億円を下回るものはなかった。香港では、こうした一軒家は羨望を込めて「ハウス」と呼ばれる。

 数軒のハウスを見た後、香港人の不動産投資家・簡國文氏は、「香港ではこのクラスは、上の下、つまり最高額物件ではないです」と前置きした上で、「ただ30年の間でこれだけの数が一度に出てくることはまずなかったです」と語った。

ピーク・ロードから見た香港中心部(筆者撮影)

 香港の富裕層は、タワーマンションには住まない。住むのは、「オープンビュー」と呼ばれる、上にも前にも邪魔するもののない眺望のいい一軒家だ。一軒家には庭があり、プールもある。車も置ける。庭ではバーベキューと屋外ジャグジーを楽しめる。何よりプライベート感がずば抜けている。

 1階が駐車場で、2階に30畳を超えるリビングとキッチン、3階、4階にメインベッドルームや書斎、客間、子供部屋、そして最上階が屋上バルコニーというタイプが多かった。

 広さは100~150坪で、平均的な日本の一軒家が30坪程度と考えれば、3~5倍に相当する。それぞれの部屋ごとに、風呂・トイレ・洗面台がつく。どのハウスにも、正面玄関とは別に、1階の駐車場から部屋に入る第二玄関があった。富裕層は人目につくのを嫌がるため、車から室内に直接行き来できる設計が当然とされる。

 戸建てであっても土地は借地だ。つまり建物価格だけで100億円を超えることになる。工事に関わる全体の費用を積み上げたところで100億円を超えることはないだろうから、希少性が価格を押し上げるのだろう。とはいえ、やはり設備やインテリア、壁紙や床に敷き詰められた石、建具などは、日本の億ションがちんけに思えるほど、上質なものが用いられていた。