Q トルコリラ暴落、なぜですか?
トルコのリラ暴落で、世界経済が混乱しています。一因としてトルコとアメリカの関係悪化が挙げられるというニュースを見ました。アメリカは中国とも貿易問題があるし、トランプ大統領の経済政策って方針があるのか不思議に思います。リラの暴落は、なぜ起きたんですか?(10代・男性・学生)
A トランプ大統領「方針」とは、2020年の大統領選挙で自分が再選を果たすために何ができるか、なのです。
トランプ大統領の経済政策の「方針」とは、11月の中間選挙で与党の共和党に勝たせ、2020年の大統領選挙で自分が再選を果たすために何ができるか、なのです。
トルコでは、2年前のクーデター未遂事件に関与したとして、アメリカ人のキリスト教福音派の牧師が身柄を拘束されています。キリスト教福音派とはキリスト教原理主義の信者。聖書に書かれていることは一字一句真実だと信じている人たちです。アメリカには、こうした人たちが国民の4分の1を占めているといわれます。トランプ大統領は、この人たちの支持が欲しいのです。牧師を救出すれば選挙に有利だというわけです。
まあ、自国民が他国で拘束されていれば、救出しようというのは、大統領として当然のことなのですが。
では、自分の要求を呑ませるにはどうしたらいいか。トランプ大統領は海外からの鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税をかけていますが、トルコに限っては税率を倍にするという行動に出ました。嫌がらせです。
当然、トルコ経済に悪影響が出ます。このところトルコ経済は好調だったので、海外からの投資が入っています。トルコに投資つまりトルコの株を買ったりしている海外の投資家は、「これでトルコの株価が下がる」と直感。株を売ってリラの現金にし、それをドルに両替して国外に持ち出しました。
リラとドルの両替の比率は「需要と供給」の関係で決まります。「リラをドルに両替したい」という人が増えれば、これはドルの需要が増えることを意味しますから、リラに対してドルが値上がりします。つまりリラが値下がりしたのです。
リラが下がれば、トルコが海外から輸入する商品のリラでの価格は上昇。国民生活が逼迫します。トランプ大統領は、こうしてトルコを困らせ、要求を実現させようとしているのです。
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