介護を負担する覚悟のようなものを固めた「シスターフッド」
――しっかりした方だったからこそ、認知症とわかった時のショックは大きかったでしょうね。
村井 周囲に与える影響は大きかったですね。100パーセント義理の母に依存していた義父が、洗濯物が出てこなくなってご飯も作ってもらえなくなったから、暮らせなくなったんですよ。妻が認知症になってつらいというより、まず家事をする人間がいなくなってつらい……という理由で大打撃だったんだと思います。
同じ女としてそれを見ていて、家事ができなくなったくらいでこんなに否定されるなんて、たまったもんじゃないと思いましたけど。でも確かにどんどん家が荒れていくんですよ。
どこから持ってくるのか、Amazonの段ボールがいつの間にかたくさん増えていて、壁に沿ってバリケードみたいに積まれていく。夜中にずっと物を集めているみたいで、「ホーダー」っていう認知症の症状らしいです。謎の紙の束もどんどん増えていく。すごいですよ。一緒に家に住んでる人にとっては、かなり圧迫感があると思います。
――義理のお母様の介護について、村井さんが関わろうと思った理由の1つに「シスターフッド」があると、別の本に書かれていましたよね。「同じ女として」という気持ちも動機になった?
村井 そうですね。義理の母は服装もきっちりした人だったんですが、自宅で暮らしていた最後の方は身だしなみが整えられなくなっていて、かなりの薄着で外に出てしまうことがありました。トイレの失敗も徐々に増えました。
女としての共感というよりは、そういう女性としての尊厳が損なわれるようなところを見て、「嫌な人だったから面倒見ないわよ」というわけにはいかないなって思いましたね。
あとは、女性のヘルパーさんが来ると義父との浮気を妄想して怒るんだけど、男性のヘルパーさんが来ると義理の母の中で淡い恋に発展しちゃって。そういう時も私は笑って済ませられる。でも夫や義父は全然笑えてない、みたいな。
――それで、介護を負担する覚悟のようなものが固まるんですね。
村井 「介護はプロに任せよう」ってよく言われるけど、結局今の介護制度で100パーセントプロに任せようと思ったら、介護保健の支給限度額は超えてしまいます。超えた分は全額負担になりますから、とんでもない金額になる。それに、介護業界に従事する全員が天使のように良い人たちとも言い切れないし。「家に行った」って報告しながら、行ってない人がいたんですよ。
