IoTとAIが押し上げた中国の“製造力の進化”
2010年代に入ると、固定のインターネットからモバイルインターネットへと利用シフトが進み、スマートフォンが出てきたのはもちろんのこと、スマートテレビやスマートスピーカーなども登場してきます。人が使うスマホやパソコンだけでなく、モノのインターネット(IoT)が普及していきます。シェアサイクルもIoTです。
工場にIoTが導入されることで、自動化が進み、メーカー工場と部品工場などを結ぶサプライチェーンが連携し、品質のチェックも向上します。たとえば生産品が流れていくベルトコンベアの上にカメラが設置されて、問題があれば一瞬で検知するようになったわけですね。
メーカーがIoT入り自動化工場で成功すると、それを部品を生産する連携工場にも導入し、製品品質が良くなっていきます。生産側では生産効率、歩留まり率、納期サイクル、エネルギー消費量、在庫回転率が大きく改善します。
日本にも同様のソリューションはありましたが、中国が追いついてきたわけです。しかも中国の場合、大手メーカーは部品を作るメーカーに安く大量に作らせるのだから、値段も圧倒的に安くなる。
しかも、近年はAIがめきめき存在感を出してきました。製品品質チェックもAI、スマートスピーカーが音声を認識するのもAI、カメラで美顔補正するのもAI。中国の街では美顔アピールのスマホ広告をよく見るようになりました。
AIを活用したロボット掃除機も発売され、ECOVACSやRoborockといった中国企業勢が台頭し、世界でシェアを拡大。性能やコスパをよくした先に、ルンバのiRobotの経営破綻が昨年末にありました。
世界が受け入れ始めた中国メーカーの製品
中国のスマートフォンやテレビが世界市場でシェアを取るようになっただけでなく、新しい製品分野で「中国メーカーは世界でいける!」という成功体験を企業側が得るようになります。たとえばドローンで知られるDJIの元エンジニアが立ち上げた3Dプリンター企業「Bambu Lab」が世界を席巻。
世界各国のニーズに応えれば中国製品はいけるぞとばかりに、クラウドファンディングで世界に売る中国企業も続々と登場しています。欧米ではロボット掃除機を発展させた芝刈りロボットが登場したり、庭のプール清掃ロボが登場したりしています。
これには中国企業がこれまで作ってきた自動運転車向けのLiDARという部品を活用しています。ヒューマノイドにもLiDARを使うので、結局部品レベルからこれまでの積み重ねなんですね。
AIで製品力をブーストして開発している間に、中国メーカーのモノづくり力が高まり、新しいコア技術を身につけ、年始からのCESやMWCといった国際的展示会では各社が驚くような製品を投入し、各メディアの記事では製品に驚きの声が取り上げられました。だんだんと中国メーカーの製品が世界で受け入れられ、実際に売れている現実があるのです。
写真提供=山谷剛史


