「私は誰も殺していない」と主張するも……
こうした裁判の認定について、美由紀は「確かに詐欺はしました。それは反省しています」と言いつつ、「私は誰も殺していません」と言い切った。
――矢部さんには、けっこうな金額のお金を借りていたようですが?
「お金を借りていたんじゃありません。矢部さんは私に子供が5人いたので生活費を出してくれていたんです。私もそのぶん、矢部さんの家で洗濯や料理をしていました」
――圓山さんにも家電の代金の支払いは求められていなかったんですか?
「圓山さんには、受け取った家電の代金のうち40万円くらいは支払っていました。そして残りのお金も少しずつ支払うということで、納得してもらっていたんです」
殺人への反省意識は希薄だった
美由紀は真顔でこのように主張したが、裁判資料をもとに検証すると全部噓だった。
まず、矢部さんについては、亡くなる1カ月ほど前、美由紀との間で270万円の借用証書を作成していた。この借用証書は連帯保証人として美由紀の当時の交際相手の安東が設定されており、矢部さんが美由紀に対し、貸した金の返済を強く求めていたのは明らかだ。
しかし、美由紀から矢部さんに金の返済はなく、借用証書の返済期限を4日過ぎた日、矢部さんは失踪し、その7日後に海で溺死体となって見つかったのだ。
一方、圓山さんも亡くなる少し前、内妻の女性に「家電の代金を支払わない女性客がいる」とこぼしていた。失踪した日は朝、美由紀から電話をうけると、内妻の女性に「集金に行く」と言い残し、朝食も食べずに慌てた様子で外出したという。そして帰宅せず、翌日、川の浅瀬で溺死しているのが見つかったのだ。
しかも矢部さん、圓山さん共に失踪当日、自分の車で美由紀と一緒に現場の海や川に向かっていたことがコンビニの防犯カメラ映像やカーナビの記録から判明していた。さらに2人の遺体からは睡眠薬が検出されたうえ、その成分は美由紀が事件前に知人の男性から入手した睡眠薬の成分と一致していた。
美由紀が矢部さんと圓山さんに睡眠薬を飲ませ、海や川に引きずり込んで殺害したことは証拠上、動かし難かった。それでも美由紀は面会中、2人の死を本当に悲しんでいるような表情でこう言った。
「あの2人は私に対し、お金の返済を求めてくるような人たちではありませんでした。あの人たちが私にお金を求めていたように言われることも悔しくて……」
美由紀からは、人の生命を奪ったことへの罪の意識は感じられなかった。
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