「ホラー映画を見るか?」という問い
「帰った後で、刑事から電話がかかってきたのですが、『仕事で怪我をしたことはあるか?』という質問でした。なので、6月にチェーンソーで足を切ったと伝えると、『その血は車についた?』などとしつこく聞かれ、タオルを巻いたからついてないと否定すると、『血のついたタオルを運転席の後ろに投げなかった?』などと畳み掛けてきました。どこかこちらの反応を試している感じでした」
この電話から間を空けず、刑事はふたたびXさんに電話をかけてきた。
「次の電話では、『ホラー映画を見るか?』と尋ねてきたので、(米ホラー映画の)『SawⅤ(ソウ5)』のDVDを借りて見たことを話すと、続いて『人間の肉を食うビデオは見たことある?』と聞かれたんです。もちろん否定しました」
以来、電話はかかってきておらず、車が追尾されることもなくなったという。
Aさんと同じ大学の大学院に通うYさんは、彼女の行方がわからなくなった日に、学内の研究室にいた。その後、夜遅くに金城地区のNシステムがある道を通過して自宅に帰っている。大学院で学ぶ傍ら、臥龍山を管轄とする林業の仕事に就くYさんは取材に答える。
「(09年)11月後半の夜9時半頃、一人暮らしの家(広島県内)に、刑事2人が突然やってきました。刑事は私の車が10月26日の夜遅くに金城を通っていたから来たと言い、当日の行動について聞いてから、風呂場を見せてくれと言ってきました。あと、家にある刃物を気にしていて、それも見せるように言われました。ノコギリよりもナタや包丁について気にしていました」
2人の刑事はそれから1日空けると、Yさんの家に再度やって来た。
「大学に何時までいたかを調べたいと言われ、研究室でパソコンを使った時間を話しました。使用後はすぐ帰り、途中でコンビニに立ち寄ったことを説明すると、コンビニでその時間に私の映った(防犯カメラの)映像があったことから疑いが晴れたようで、次に来たとき、供述のウラが取れたから大丈夫だとの説明を受けました」
※本記事の全文(約4000文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(小野一光「捜査は7年も続いたが、犯人は遺体発見の2日後に死んでいた」)。
【平成凶悪事件と「その後」】島根女子大生バラバラ殺人事件篇
#1 バイト先から学生寮までの夜間の人気のない山道で起きた惨劇
#2 捜査は7年も続いたが、犯人は遺体発見の2日後に死んでいた
#3 「無駄な捜査は一つもなかった」と総括した警察
#4 理系のバンドマンで、強制わいせつ事件の前科があった犯人
■「平成凶悪事件と『その後』」
【平成17年】 大阪姉妹連続殺人事件篇 みんなから愛された姉妹は帰宅直後に殺害された(全4回)
【平成15年】福岡一家4人殺人事件篇 犯人逮捕を喜ぶはずの遺族の周辺から「結末に納得がいかない」との声(全4回)
【平成18年】秋田児童連続殺人事件篇 「そこ写すなって言ってんだろ!」と報道関係者に怒りをぶつけた畠山鈴香(全4回)
【平成16~17年】福岡3女性連続強盗殺人事件篇 すぐに死刑というふうにしないと。おかしいやろ、税金でメシ食わせるのって(全4回)
【平成6年~12年】中洲スナックママ連続保険金殺人事件篇 「なにしろ美人で華やかだった」夫2人を金目当てで殺害した女は〈白雪姫〉と呼ばれていた(全4回)
【平成21年】平成21年 島根女子大生バラバラ殺人事件篇
#1 バイト先から学生寮までの夜間の人気のない山道で起きた惨劇 この記事
#2 捜査は7年も続いたが、犯人は遺体発見の2日後に死んでいた
#3 「無駄な捜査は一つもなかった」と総括した警察
#4 理系のバンドマンで、強制わいせつ事件の前科があった犯人
