そうしたこともあって、いつしか「安倍信者」という表現が出てきました。安倍やその政策を熱心に支持する人々を「岩盤保守層」と呼ぶような論者も現れました。「岩盤」というのは熱心で強固に信奉することを表すのだと思われますが、右派市民はどの程度、そうした人々で占められていたのでしょうか。彼らの多くは実際に、「安倍信者」だったのでしょうか。

 本調査では政党や政治家に対する「好き─嫌い」の程度をたずねる質問を設けました。0(もっとも嫌い)から10(もっとも好き)で回答するもので、排外主義者は中国と韓国にともに「0」、反左主義者は立憲民主党と共産党にともに「0」と答えた人と定義しました。安倍本人もさまざまな機会に排外主義的、反左主義的な言動を行っていたので、右派市民は往々にして彼のことが大好きであろうと推測します。

図1 右派市民の安倍首相に対する感情

 ところが、[図1]をみるとそれほど単純ではないことがわかります。安倍の評価を最大の「10」としたのは、愛国主義者の約20%、伝統主義者の約15%、反左主義者の約20%です。そして排外主義者ではなんと10%を下回っています。右派市民は「信者」というほどには安倍を信奉していたわけではないようです。

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 ちなみに、左派市民の安倍に対する「0」評価は40~50%程度とかなりの高率でした。右派市民らが揶揄(やゆ)するように、左派市民の多数が安倍を毛嫌いしていたのは確かなようです。