自民党の中でも右派と言われる高市早苗が総理大臣になり、参政党の掲げる「日本人ファースト」というスローガンが支持される日本社会では、急速に“右派”が増えているように感じられるかもしれない。
こういった政治家や主張を強く支持しているのは、一体どんな人たちなのか。中京大学で政治社会学を教えている松谷満さんは『「右派市民」と日本政治 愛国・排外・反リベラルの論理』(朝日新書)の中で、2017年に1万1508人を対象に行われたアンケートの結果をもとに、“右派市民”を4つのタイプに分けて分析した。
(1)愛国主義者(政治家の靖国参拝や愛国教育に賛成している人)
(2)伝統主義者(同性婚や選択的夫婦別姓に強く反対している人)
(3)排外主義者(中国、韓国を嫌悪している人)
(4)反左主義者(立憲民主党、共産党といった左派政党を嫌悪している人)
ここではさらに、性別や年齢など具体的な“右派市民”の属性の傾向について松谷さんが分析する内容を、本書より抜粋して紹介する。「もっとも右派から遠い」のはどんな人物像なのか――。(全4回の1回目)
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ボリューム層はシニア男性?
「右派市民とは誰か」という問いは、これまでも多くの研究で検討されてきました。ただ、これまでは、「右派政党を支持する人たち」「右派的な価値観が全般的に強めの人たち」が分析の対象となってきました。本書のように、極端な右寄りの人たちをタイプ別に分析するという手法は一般的ではありません。
なおかつ本書では、同じ右派市民といっても、多様な志向があることを確認しました。それならば、それぞれのタイプによって人物像も違っているのかもしれません。これから、そのことを確認したいと思います(*1)。
まず、もっとも基本的な属性である年齢と性別についてみていきます。これまでの研究では、ほとんど例外なく、右派的な人々は男性に多いといわれてきました。これは日本でも海外でも同じです。一方、年齢については、結果にばらつきがみられます。どういった右派を分析対象とするかにもよりますが、古い価値観を重視するようなタイプの右派は、高年層が中心となります。一方、ヨーロッパで移民排斥を主張するようなタイプの右派は、若者が多いというケースもあります。
