本書の右派市民は定義上、特定の過去への愛着を特徴としています。したがって、年齢層は高めに分布しているとも予測されます。古谷経衡の著書『シニア右翼』では、その名のとおり、活動的な右派の人々は圧倒的に高齢者が中心であると指摘されています。では、本書の4タイプはどうでしょうか。
性別については、すべてのタイプで男性比率が高くなっています。調査全体の男性比率は51%ですが、それをはっきりと上回っており、やはりこれまでの調査研究と同様、右派的な人々は男性に多いことが確認されました。ただし、タイプによって男性比率の高さには違いがみられます。排外主義者はもっとも低く(58%)、伝統主義者がもっとも高くなっています(73%)。本書の「伝統主義」は家族や性にかかわる男性中心主義的な考え方を含んでいるため、当然の結果といえるでしょう。
伝統主義者は高年層に偏っているが…
年齢については性別ほどには明確な偏りはみられません。そのなかで、伝統主義者がかなり際立った特徴を示しています。伝統主義者は、70代が40%と突出して多く、60代を含めると6割を超えます。調査全体の60代以上は35%なので、伝統主義者は明確に高年層に偏っています。
この結果は、生まれ育った時代の影響でしょう。家族や性に関する伝統規範を当たり前のこととして長いあいだ生活してきた人々にとっては、時代が変わったから寛容になりなさいと言われても、なかなか受け入れられないのは想像に難くありません。
しかし、それ以外はあまり年齢による特徴ははっきりしません。しいていえば愛国主義者で70代が少し多い(全体15%に対して19%)程度です。この結果からすると、右派市民がシニア層主体であるという指摘は正しくないといえます。現役世代にも一定の広がりを持っているとみたほうがよいでしょう。

