もっとも右派から遠いのは「若年大卒女性」
階層的特徴を検討する際に注意しなければならないのは、性別や年齢といったほかの属性の影響です。たとえば、右派市民には大学卒よりも中学・高校卒の人が多いという結果が出たとしましょう。しかし、それは学歴自体によって違いが生じているのか、それとも高年層には大学卒の人が少ないことによるのか、はっきりしません。
職業も同様です。右派市民には無職者が多いという結果が出たとしましょう。しかし、それは無職か有職かという違いによるのか、それとも高年層には退職者が多いことによるのか、はっきりしません。したがって、性別や年齢という条件を一定にした場合に社会階層の違いがあるのかないのか、といったことを見極めないといけないのです。
その点に注意し、まず学歴の影響を確認しましょう。性別や年齢の影響を考慮するために、性別・年齢・学歴で12のカテゴリを作りました。年齢は若年(20~30代)、中年(40~50代)、高年(60~70代)とし、学歴は大卒(短大・大学卒以上)か非大卒(中学・高校卒)かという2区分にし、それに性別を加えると12の組み合わせとなります(*5)。
こうすれば、「高年層に高学歴層が少ない」といった影響を除外した結果としてみることが可能です。[表3]は、右派市民の4タイプにそれぞれのカテゴリの人たちがどの程度含まれているかを示しています(*6)。
たとえば、愛国主義者には「若年大卒男性」が18%含まれていますが、調査回答者全体のうち若年大卒男性は14%のため、愛国主義者に相対的に多いことがわかります。一方、「若年大卒女性」は全体の10%を占めていますが、伝統主義者には1%しかいません。若年大卒女性は伝統主義者が目立って少ないといえます。
このようにして確認していくと、[表3]は右派市民のプロフィールについて多くのことを教えてくれます。まず、先に確認したとおり、右派市民は男性が中心で女性は少なめです。とくに若い大卒の女性が構成比からすると目立って少ないことがわかります。若年大卒女性はもっとも右派市民と縁遠い社会層だといえるでしょう。そして、女性に関しては大卒よりも非大卒層(中学・高校卒の人々)のほうが右派市民と親和的です。あくまでも大卒女性と比べれば、ということです。
