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興福寺の隠れパワースポット

4、トイレが汚れている

 運気と直結している水まわりは、いつもキレイにしておきたい場所。なかでもトイレとお風呂を汚くしていて、運気をあげようなんて論外ですよ!


 うちの寺にいらした方たちによく褒められるのが、数年前に念願かなって改築したトイレです。「古寺といえば、じめっとした和式のお手洗い」というイメージを払拭するように、木の温かさのある空間に現代的な便器を設え、なにより、極めて清潔を心がけています。 

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 「うちのリビングより居心地がいい!」「ここに住みたいくらい」とお客さまがいってくださるのが、うれしい! そんなふうに、人の気持ちをプラスに変えるトイレは磁場もどんどん豊かになって、わが寺の隠れパワースポットになってきてます。


 ご家庭のトイレやお風呂でも、ピカピカの居心地のいい場をキープすることで、高いエナジーを補給するパワースポットになります。


 せっかくのエナジーが損なわれるから、トイレの蓋は、きちんと閉めてね。お行儀もあるけど、ケガレをふせぐ意味も大きくアリですよ。


 お風呂やトイレがキレイなところには、神さまや仏さまが遊びにくるけれど、汚いお風呂やトイレには、神さまも仏さまも立ち寄れないみたい。だから、毎日キュキュッと磨きましょう。あ、お化粧をする方は、ぜひ化粧パフも洗ってね。ドス黒くカチカチになったパフではお肌も運気も淀んでいくばかりですよ。

5、冷えている

 心とからだはつながっている――。

 そう強く実感したのは、わたしが住職をやりながら女子高の非常勤講師として教鞭をとって早々、重度の鼻づまりアレルギーで苦しんだときです。アレルギーの原因は、200%ストレス。仕事の緊張と人間関係の疲労で、最高に弱っている心とからだに、さらにアレルギーを加速させたのが、からだを冷やす生活習慣でした。


 気が張り詰めているからゆるめようと、寝る前にお酒を飲んだり、つい過食もしがちでした。大好きな生野菜も、季節はずれであろうとたくさん食べていましたし、甘いものや〆のラーメンもおいしくいただいていました。


 仕事と人間関係のストレス→内臓が冷える生活→からだの弱い部分にアレルギーを発症と、心の負荷からエネルギーが枯れて、それがからだの症状にあらわれたのです。食で患ったものは、食で治す。

©川内太郎

 寺での料理修練で、「あたり前の食」を学び直し、その後わたしの鼻アレルギーは、ウソみたいに消えました。


 あらためて一にも二にも、基本になる食は、からだが求めている季節の食材を、からだが求めている分だけいただくこと。その自然のルールで食べていると、心身がやすらぐことを体感しました。冷えとり食も開運食も、からだが温まる食事がキーワードです。

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 人生が長くなってくると、日常の習慣もダレてきます。それは、年齢を重ねて体型が変わり、新陳代謝がさがってきたから、食生活を変えたりするのと同じで、日常の習慣にも年齢なりのちょっとした工夫と知恵が必要になるんです。生きづらい時代といわれますが、「運気がいい」をキープするには、日常作法を少し見直すだけで「運気の代謝」は必ずあがります。このさりげないお話によって、日常をちょっと新鮮に感じてもらい、何か少しでも光になれば、うれしいかぎりです。

長崎市興福寺にて ©川内太郎

松尾法道(まつお ほうどう)
1950年、長崎市・興福寺の庫裡で生まれる。16歳のとき、アメリカ・ルイジアナ州のアレキサンドリアにあるボルトン高校へ留学し、海外生活の体験を経て、日本の美しい文化にあらためて目覚める。花園大学文学部仏教学科卒業後、黄檗宗大本山萬福寺修行道場に入堂。25歳にして、東明山興福寺第32代住職に就任。住職のかたわら、長崎女子商業高等学校非常勤講師、玉木女子短期大学非常勤講師を20年近くつとめる。クラシックや歌舞伎など芸能鑑賞や自身でもピアノ演奏を楽しみ、親友であった昭和の歌姫・江利チエミの音楽を深く愛する。

東明山 興福寺
1620年創建の日本最古の黄檗宗の寺院。山門が赤いことから「赤寺」とも呼ばれ、国内外の観光客にも人気が高い。「隠元さん」と親しまれている隠元禅師が1654年に中国から来朝した初登の地でもある。日本に多くの文化を伝えた隠元さんにならい、寺を文化伝承の発信地とすべく、普茶料理や煎茶の普及に力を注ぎ、季節の行事や、国の重要文化財である本堂(大雄宝殿)や境内において、折々に多彩な芸術家を招き、演奏会なども定期的に催している。2019年は、創建400年目の節目となる。http://kofukuji.com