割引販売に対する業界団体からの「猛反発」

ただ、これですべてがうまくいったわけではありません。エージェント制度に賛同していただいた小売店さんもある一方で、「アスクルに仕事を奪われている」という認識の小売店さんも、依然としてありました。アスクルの初期の広告では、「もう買いに行かなくてもいいね」をキャッチコピーにしていましたから、反感を持つ小売店さんがあったのも無理はありません。

業界団体や一部の小売店さんから「プラス製品を買うな」という不買運動を起こされたり、業界団体からメーカーさんに対して「アスクルには商品を卸すな」と圧力がかかったりしました。

さらに、くすぶっていた火種が、割引販売を始めたことで爆発しました。

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お客様のご要望に合わせ、多くの商品の価格を定価の30%引きにしたことで、定価販売をしていた小売店さんは大きな危機感を持たれたようでした。

業界団体に呼ばれて、「このままだとメーカーから商品が入ってこなくなるぞ」「安売りもそこそこにしておけよ」などと直接的に警告されたこともありました。

私だけが反感を買うのであればいいのですが、アスクルやプラスの経営陣や社員にも矛先(ほこさき)が向いたので、私も不安を感じました。その頃、社員からは「電車のホームでは端を歩かないようにしてくださいね」などと冗談めかしていわれていましたが、本心では最悪の事態が起こらないことを祈っていました。

また、一部のメーカーさんから商品を仕入れられなくなると、お客様の欲しい商品を取り扱えなくなりますから、それも痛手です。

圧力に屈しないが反対派の排除もしない

こうした業界の反発に対して、割引販売をやめるという選択肢もあったかもしれません。しかし、私は事業の方針を曲げるつもりはありませんでした。

とはいえ、敵対するつもりもありませんでした。

もともと私たちは、既存の小売店さんの売上を奪うのではなく、小売店さんにエージェントさんになっていただくことで、共存共栄したいと考えているわけです。ですから、はじめは反発していた小売店さんがエージェントになりたいと希望したら、排除するようなことはしませんでした。