アスクルが成長するにしたがって、反対派から転じてエージェントさんになる小売店さんも増えてきました。

そして、成長を続けるうち、業界からの反対運動は、いつの間にか消えていきました。

この事例は、一見、「既得権益を持つ抵抗勢力と真っ向から対決し、アスクルに賛同するメーカーさんやエージェントさんとだけ取引をした」というように見えるかもしれません。

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反対運動があっても、アスクルに賛同してくれたメーカーさんやエージェントさんに頑張っていただけたからこそ、反対派が軟化した側面があるのは事実だと思います。

しかし、繰り返しになりますが、反対運動をしていた小売店さんなどを敵視するのではなく、いつでも仲間として迎え入れるという姿勢を貫いていました。だからこそ、反対派から転じてエージェントさんになった小売店さんが増え、文具業界からの圧力が弱まったのではないでしょうか。

既得権益を持つ勢力に屈しないけれども、排除することなく、仲間に迎え入れる姿勢を持つ。新規事業を行う時は、そんなスタンスでいることが大切だというのが、私の実感です。

岩田 彰一郎(いわた・しょういちろう)
アスクル創業者/フォース・マーケティングアンドマネージメント代表取締役CEO
1950年、大阪府生まれ。1973年、慶應義塾大学卒業後、ライオン油脂(現・ライオン)入社。「free & free」などのヒット商品を手がける。1986年、プラス入社。1992年、同社営業本部アスクル事業推進室室長。翌年、アスクル事業を開始。1997年、アスクル事業がプラスから分社し、アスクル代表取締役社長に就任。2000年、同社代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)。2012年、LOHACOをサービス開始。2019年8月、退任。2019年9月、フォース・マーケティングアンドマネージメントを設立し、代表取締役CEOに就任。大手企業のイノベーションの推進およびベンチャー企業のハンズオンによる育成を行う。
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