「親方に、僕に相撲を教えることが俺の使命だと言われて」――追手風部屋への入門を決めた直感
今月18日、大森選手は卒業後の進路を発表した。入門先として選んだのは、同じ穴水町出身で、元小結・遠藤の北陣親方がいる追手風部屋だ。
「北陣親方に、『僕に相撲を教えることが俺の使命だ』と言われて、直感的にここに決めました」
7つの相撲部屋から声がかかる中で、大森選手が決め手にしたのは論理ではなく「直感」だった。同郷の先輩が発したその言葉が、大森選手の心を動かした。
金沢市出身の元十両・髙立さんは、この判断を高く評価する。
「元・遠藤の北陣親方がいる部屋で、去年は小松市出身の可貴くん(金沢学院大出身で大森選手の1歳上)も入門しているので、すごくいい部屋を選んだんじゃないかと思います」
「力がつくんじゃないかと思います」――4人の関取が在籍する最高の環境
追手風部屋の強みは、同郷の親方だけではない。全ての相撲部屋の中で2番目に多い、4人の関取が在籍しているのだ。その環境も大森選手にとっての大きな財産と見る。
「大栄翔関や翔猿関など、突き押しが得意な力士もいれば、相手を翻弄するタイプの力士もいますし、そういう面では、いい稽古ができて、力がつくんじゃないかと思います」多彩なスタイルを持つ関取たちと毎日稽古できる環境は、まさに大森選手の成長に最適だ。突き押しの迫力を体で受け、翻弄する技を間近で学ぶ。そうした積み重ねが、大森選手のスピードとパワーをさらに高いレベルへと押し上げることになる。
ただ、一つだけ懸念があるという。追手風部屋があるのは埼玉県草加市。公共交通機関で両国国技館まで向かうには、かなりの時間を要する。髙立さんの同級生にも追手風部屋の力士がいたが、「相撲教習所に通うのが大変だ」と語っていたという。
大森選手本人も、この点については正直に不安を打ち明けた。
「電車に乗れるかなって。東京の電車には乗り慣れていないので、そこだけが不安です」
能登育ちの青年にとって、都会の電車は確かに未知の世界。しかし、その素直な言葉もまた大森選手らしい。相撲の話になれば横綱を目指すと言い切り、電車の話になれば乗れるか不安だと言う。その飾らない姿が、この青年の魅力の一つでもある。



