来期A級に40代の棋士は一人もいない

 桐山と石田、そして中原は同じ1947年生まれである。1972年には桐山と石田が新人王戦決勝三番勝負を戦い、石田が2勝1敗で制して新人王となった。その後、石田は中原名人と記念対局を戦って勝利している。全員が25歳のときのことだ。

 ちなみに、師匠(石田)の喜寿のお祝いの会では、その桐山との新人王戦第3局を師匠自らが解説する一幕もあった。

©平松市聖/文藝春秋

 当時、第39期順位戦A級には板谷進(当時40歳)も在籍していた。今年6月から始まる第85期A級には、桐山の弟子である豊島将之九段、そして石田の弟子である佐々木勇気八段が名を連ねる。

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 そして名人の座に君臨するのが、板谷の孫弟子にあたる藤井聡太である。46年という月日の流れを強く感じずにはいられない。

藤井聡太六冠 ©︎文藝春秋

 当時のA級には40代以上の棋士が半数の5人もいた。大山は58歳、そこから63歳で名人戦の挑戦者になるというすごい記録をうちたてた。しかし、来期A級に40代の棋士は一人もいない。

 筆者がその事実を伝えると、桐山は「あの頃は大山さんがずっとA級を守っていましたが。AI時代になり、ベテランには厳しい環境になりましたね……」と、少し寂しそうに、しかし慈しむようにつぶやいた。

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