「仕入れ値3倍、それでも値上げできない」――常識なら撤退の局面で、男は勝負に出た。狂牛病パニックで飲食店が次々と沈む中、有名ステーキ店主が選んだ“非常識な一手”。なぜ真似した店は潰れ、自分だけが生き残れたのか? ステーキハウス『ミスターデンジャー』を経営する松永光弘氏の新刊『令和のステーキ店経営デスマッチ コロナ禍に完全勝利も物価高地獄でリングアウト寸前?!』(西葛西出版)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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飲食店を襲った「狂牛病パニック」
危機を察知して大量の牛肉を確保したおかげで、営業ができなくなってしまうという最悪の事態には陥らなかったのですが、これで「輸入牛だから安全」というキャッチフレーズすらも使えなくなってしまいます。
ステーキ店に限らず、牛肉をメイン商材にしていたすべての店舗に襲いかかった狂牛病パニック。閉店や撤退する店が増え、自殺にまで追いこまれる経営者が出る中で、私はなんとかして『ミスターデンジャー』を守ろうと、文字通りのデスマッチに挑むことになるのです。
輸入肉の価格が3倍に! 唯一無二の大ピンチ
アメリカからの輸入がストップしたため、オーストラリア産の牛肉にチェンジしたのですが、価格はこれまでの3倍以上。これでは何をどうやっても儲けなんて出ないし、黒字にしようと思ったら、それこそ何倍も値上げしなくてはいけなくなります。
ウチは安さを売りにしてきたので、ガーンと価格をあげたら、間違いなく今までのお客さまは離れていってしまう。この出口の見えない負の連鎖に飲みこまれてしまうと、いよいよ撤退を余儀なくされてしまいます。
