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底がまったく見えない底なし沼
あるプロレス記者が「プロレスとは底が丸見えの底なし沼である」という名言を残しましたが、このときのステーキ屋は「底がまったく見えない底なし沼」状態でした。まだまだ牛肉は高騰するかもしれない、さらに風評被害でお客さんは離れていってしまう……そう考えたら、怖くて経営戦略なんて立てられません。
ただ、私はプロレスラーとして生きる道を投げ捨てて、ステーキ屋になりました。そこには強い意思があります。初期投資もかなりかかっていますし、ようやく店の名前が浸透してきたところで「じゃあ、辞めた!」とギブアップはできなかったのです。開店してからもさまざまなトラブルに見舞われ、それでも私はこの店一本でやっていくと心に決めていたので、他の飲食店への転業も考えられませんでした。
そもそも私がセカンドキャリアにステーキ店を選んだのは、儲かると思ったからです。もちろんライバル店も多いですし、そう簡単な世界でないことは分かっていましたが、プロレスラーとしての私が「誰もやっていないことをやる」ことで唯一無二の存在になっていったように、ステーキ店でも唯一無二になれると考えたのです。
そのための秘策が「誰も使っていない肉を使う」でした。