「山でも川でも崖でも、絶対曲がらない」ルールのトレーニング

――田中さんが一番最初に自分で計画した探検はどんなものだったのですか。

田中 一番最初はね、すごいくだらないですけど、(探検するための)トレーニングでした。まだ入部したてで自分が何をしたいか分からなかったんですけど、どこへでも行けるように体力とテクニックは磨いておかないといけない。そこで一番最初に思いついたのが「直進行軍(ちょくしんこうぐん)」というトレーニングです。

――直進行軍……?

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田中 フェリーで四国の川之江市(現・愛媛県四国中央市)に着いて、そこから真南の高知市までひたすら歩くんです。ルールは、絶対に曲がらないで進むこと。山があろうが、川があろうが、崖があろうが絶対曲がらない。崖があったらよじ登るか降りる、川があったら泳いで渡る。地形を無視して進むわけです。

学生時代の田中彰さん

――ストイックすぎますね。なぜ四国を選んだんですか?

田中 直線のルート上に町がないからです。町の中を他人の家とかを無視して直進していくわけにはいかないから、海から海へのキリのいいところで、途中に何もないところを国土地理院の地図で探したら、たまたま四国になったんです。

 実はこれ、当時『週刊少年ジャンプ』で連載していた『魁!!男塾(さきがけおとこじゅく)』っていう漫画の中でそういう訓練があって。「これを本当にやったら、いいトレーニングになるな」と思って、部活の仲間を募って4人でやりました。

トゲのあるイバラ野中を突き進み…

――実際に『男塾』のトレーニングをやってみて、いかがでしたか。

田中 いや、めちゃくちゃ大変でした。四国の山って林業が盛んで人の手が入っているから、伐採した後にほったらかしにされた場所は、とんでもない藪(やぶ)になるんです。トゲのあるイバラが生えてツルが絡まって、もうジャングルみたいになる。

 そこを曲がらずに進むから、服が破れたり、ちぎれたりして、スタート時は長袖・長ズボンだったのに、高知に着いた時は半袖・半ズボンみたいにボロボロになってました。

関西大学の探検部に入部して“サバイバル生活”を経験

 途中で買い物もしないというルールだったので、10日分の食料を全部背負っていくから荷物もすごく重い。

 途中、春だったんで、生えたてのタケノコを採って食べたんですけど、20歳そこそこの若造だから、アク抜きを知らなくて(笑)。「なんか、味が変だな」と思いながらも腹が減ってるからいっぱい食べちゃって、後で気持ち悪くなっちゃって、参加したメンバーも僕もテントで寝込んじゃいました。

――サバイバル生活ですね。

田中 でも、最後に海に着いた時は「やったぞ!」ってものすごく達成感がありましたね。