真っ暗闇の中、周囲から唸るような獣の鳴き声で威嚇されて…

――いざマダガスカルの原生林へ。実際の樹上生活はどうでしたか。

田中 木に登った初日の夜は真っ暗闇の中で、周囲から唸るような獣の鳴き声で威嚇されたんですよ。恐る恐るライトで照らしてみたら、見た目は可愛いキツネザルでした。僕らを侵入者だと思って取り囲んで威嚇してきて……。でもだんだん慣れてきて、最後は僕らが寝ているところに来て、勝手に食料を開けて食べるぐらい友好的になっていました。

――1ヶ月半も木の上にいると、体に何か変化はありましたか?

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田中 肉体的な変化で言うと、足が萎えてしまうんです。ずっとロープにぶら下がっていて、自分の足で地面を歩くことがないから。仲間と1週間交代で地上に降りた時は、まるで宇宙飛行士が地球に帰還した時みたいに、フラフラしてうまく歩けませんでした。逆に腕力ばかり使うので、オランウータンみたいに腕が発達しました(笑)。

木の上で生活し、「腕がオランウータンみたいに発達した」という

保存食を大量に持ち込み「昼ご飯は、ほぼ毎食カロリーメイト」

――樹上生活中、トイレはどうしていたのですか。

田中 トイレは、ポータブルトイレみたいなものを持ち込んで、生分解性の袋に入れて後で地上に下ろして分解させていました。

――食事はどうされていたんでしょうか。1ヶ月半も食料を持たせるのは大変そうです。

田中 保存食を大量に持ち込みました。昼ご飯は、ほぼ毎食、カロリーメイトです。実は大塚製薬さんに援助をお願いして、フルーツ味を無償で提供してもらいました。

 不思議なもので、毎日同じフルーツ味のカロリーメイトばかり食べていると、味覚がものすごく鋭敏になるんですよ。たまに焼き具合がちょっと違って、サクッと硬めに焼き上がっているやつがあるんです。それが僕らからしたら味のアクセントになって、「おお、当たりだ!」って分かるぐらいになっていましたね。

熱帯雨林の木の上で生活する学生時代の田中彰さん

――味覚が敏感になるほど、野生化していたんですね。

田中 熱帯雨林の蒸し暑さや虫、トゲのある植物など不快なことだらけでしたけど、仲間と励まし合いながらやり遂げられて良かったです。

写真提供=田中彰さん

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