「乱暴にしないで……」
震える女性の願いが聞き入られることはなかった。開店前の風俗店に侵入した全裸の男は、わずかな時間で2人の女性に暴行を加える。しかも犯人は、海上自衛隊に所属する26歳の現役隊員だった。なぜ彼は暴挙に出たのか? 平成21年、神戸市で起きた事件の発端をお届け。なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/続きを読む)
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突如襲ってきた「謎の男」
開店前の風俗店。早朝勤務のマミさん(当時33)は前日夜から部屋に泊まり込んでいた。
明け方に廊下に出たときのことである。1階の廊下をものすごい勢いで突進してくる全裸の男に遭遇した。
「だ、誰?」
声をかける間もなく抱きつかれ、押し倒されて下着を脱がされた。男は目がギラついていて、フーフーと荒い息を吹きかけ、明らかに正気を失っている様子だった。
いきなり男に襲われ、何をしようとしているのか分かったマミさんは、とっさに「ちょっと待って」と言って、自分の下半身に唾を塗りつけた。もちろん同意したわけではない。ただ、恐怖心からそういう行動を取っただけだ。
男は前戯もなく、無言で体を重ねてきた。マミさんは男を怒らせないように黙って要求に応じた。行為の途中、男は初めて口を開いた。
「お前じゃダメだ、他に女はいないのか?」
