全裸で街をさまよい、行く先々で異常行動を繰り返した海上自衛隊員の男(当時26歳)。やがて逮捕され、その供述から明らかになったのは、常軌を逸した犯行の裏にあった“歪んだ認識”だった。
被害女性たちは深い恐怖を抱えたまま職を離れ、事件は法廷へ。精神鑑定の結果、そして下された判決とは――。平成21年、神戸市で起きた前代未聞の事件の「その後」に迫る。なお登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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行く先々で全裸に
早朝の風俗店に侵入する前、山口は牛丼店に入り、店にいた女性のカバンをいきなり投げつけるという蛮行を働いた。連れの男性に「お前、何じゃこりゃ!」と小突かれ、店の外まで連れて行かれたが、「警察を呼ぶなら呼んでくれ。逮捕されれば、元の世界に戻れるかもしれない。自分は今、死んでいるんだ」と説明し、男性と話がかみ合わず、男性は怒る気力もなくなって、その場から立ち去った。
山口はそれを「まともに相手にされないということは、自分が死んでいる証拠だ」と理解した。それで次に思いついたのが「女とセックスすれば、生き返れるかもしれない」という発想だったのである。
未明の歓楽街を歩くうち、被害者になるマミさんとリカさんが在籍する風俗店を見つけた。山口は裏口のドアから侵入。最初に入った部屋で衣服を脱ぎ捨てて全裸になり、「女はいないか」と店内を探し回った。その結果、たまたま出くわしたマミさんを強姦。次いでリカさんを強姦し、店にあった花柄のワンピースを着て逃走した。
犯行後、山口は「これはすべて夢かもしれない」と思い、コンビニで全裸になり、床に寝転がるという愚行を働いた。当然のごとく、店員に注意され、また全裸で逃走。その後、近くの駅の駅員室に忍び込み、制服を着込んで外に出たが、駅員に見つかり、三度全裸になって街中へ逃走した。
