駅前に降り立つと…

 いくら特急の終点といったところで、勝田駅はそれほど大きな駅ではない。なにしろお隣が水戸駅なのだ。

 水戸には立派な駅ビルもあるし、黄門様もいるし、ドトールもある。勝田駅にしてみれば、都会的なムードはそちらに譲ります、といったところだろうか。

 

 勝田駅のホームは2面4線。そのうち1線は、ひたちなか海浜鉄道が使っている。だからJR常磐線としては実質2面3線。やっぱり規模は小さめだ。

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 それでも、駅舎は立派な橋上駅舎。改札を抜けた自由通路には、カフェや土産物の売店などが並んでいる。

 

 そしてあたりを見渡すと、バスケやバレー、陸上チームのポスターが目に留まる。どれも日立製作所の関連チームのようだ。勝田は、スポーツの町、そして日立の町ということなのだろうか。

 スポーツはともかく、日立の町であることはすぐに答え合わせができた。自由通路から駅西口に出ると、駅前広場の向こう側に木々の生い茂る一角が見える。その中は、日立製作所の工場なのだ。

 

 駅前に、駅にほとんど隣り合うように日立の工場。さらに線路沿いを北に進むと、駅構内から古びたレールが道路に向かって伸びてくる。

 そのまま道路を跨ぎ、工場の脇をずっと先まで続いているようだ。いまでは使われていない、工場への引き込み線の跡である。

 
 

 調べてみると、もともとこの日立の工場では、鉄道車両を製造していたという。引き込み線は、製造した車両の搬送などで使われていたのだろう。

 さらに、日立の工場で働く人のための、工場内に続く通勤専用列車まで走っていたのだとか。家の前から職場の前まで電車かバスが行ってくれたらいいのにな、などというのは誰もが夢見ることのひとつ。まるでそんな夢が叶っているような、そういう職場なのである。

 

 などといっても、まあ実際にはそれほどたくさんの人が働いていたということの裏返し。勝田駅側にも通勤専用列車のためのホームが設けられていた。

 が、1990年代には廃止され、専用のホームも撤去されていまは駅前広場などの一角に飲み込まれている。

 勝田駅の西口は日立のゾーン。では、東口はどうなのだろうか。