脳に起きる“4つの変化”

A 誕生から9歳までの児童期に認知能力が急速に発達する。最初の転換点である9歳から、32歳までに脳の成長が最高潮に達する。次の転換点は32歳。ここから66歳までの34年間で脳は成長期から成熟期へ移行する。同時に、脳の情報伝達機能は徐々に低下してゆく。

Q オイラ、今朝何食べたかも覚えてないから、すでに低下している気がするのですが……。

A うちで検査しようか。

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Q また今度お願いします。次の転換点は?

A 66歳。これ以降、83歳までに脳の情報伝達機能が急速に衰え、MCIや認知症を発症する人が増えてゆく。最後の重要な転換点なんだ。

Q あらら。66歳だとすでに高齢者ですよね?

A そう。しかも、60代以降は、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、中年期から患っている生活習慣病が祟って、がんや脳血管疾患などの疾病の発症率が急激に上がる。生活習慣病が認知症のリスクになっていることは知っているよね?

Q もちろん。なんせオイラの体、生活習慣病の総合デパート状態ですから。

A ドヤらないの。東京医科大学の研究チームが113人の患者を分析したところ、アルツハイマー型認知症の48%が脂質異常症、42%が高血圧、19%が糖尿病を合併していたんだ。生活習慣病は血をドロドロにして脳の血流を悪化させるため、アミロイドβが溜まりやすいという実験データもある。脳内に何十年もかけて溜め込まれたゴミは、完全に掃除するのは難しいんだ。だから、アルツハイマー型認知症を発症しやすくなる。

Q 自宅がゴミ屋敷なのに、脳内までゴミだらけ?

A だからこそ、49歳のいまから、血管を老化させる生活習慣の改善に取り組むべきなんだ。認知症予防において、大切なのは血管の老化を防ぐこと。オジ記者のような肥満の人は、認知症の発症の準備をしているようなもの。かなりハイリスクだ。

内野院長

Q 今まで元気に太っていたのに! ひどくない?

A 4、50代が認知症予防のラストチャンスと心得よう。具体的な方策は次回。

Q なんだか頭使いそうだなあ。メロンパン食べながら聞いてもいいですか?

A ダメ、絶対!

イラスト=ポートレーターmiki

◆内野勝行院長/埼玉県育ちながら、チャキチャキ江戸っ子マインドの脳神経内科医。2015年に「金町駅前脳神経内科」を開院以来、認知症や認知症予備軍(MCI)患者のべ1万人以上を診察。認知症外来専門医として認知症治療だけでなく認知症予防にも注力。患者を思うあまり、時々つい口が悪くなる。
 

◆オジ記者/取材の合間の別腹スイーツが至福。肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症の生活習慣病に絶賛罹患中の49歳。最近、好きな芸能人や映画のタイトルすら思い出せず、50代を前に危機感を募らせている。

「週刊文春」では「1万人を診た専門医が解説 49歳からの認知症予防」を連載中。バックナンバーは「週刊文春 電子版」でお読みいただくことができます。

第1回 いまがラストチャンス!?
第2回 降圧剤は66歳までに卒業しよう
第3回 認知症は赤ワインで予防できるの?
第4回 夜中のおしっこ・いびきは要注意? 最適な睡眠時間は何時間?
第5回 ダイエットは65歳までに完了せよ!
第6回 家事は最高のエクササイズだ!
第7回 「脳のおそうじスープ」レシピ公開!

次の記事に続く 降圧剤は何歳までに卒業すべき? “認知症治療のエキスパート”が解説する「認知症と高血圧の関係」