いつの間にか、修学旅行で沖縄に関する平和学習や基地問題を学ぶことに問題があるというような「イデオロギー」や「思想」の問題に比重がおかれていることに注目したい。こうした論調がネットでも広まっているように思える。つまり「メディアは辺野古転覆を報じていない」を言い直すなら、「メディアはなぜ産経新聞ほど報道をしないのか」なのだろう。

「イデオロギーではなくアイデンティティー」

 平和学習がイデオロギーまみれという批判に対しては、沖縄タイムスで川満彰氏(沖縄国際大学非常勤講師)が、沖縄の根強い基地に反対する思いは「イデオロギーではなくアイデンティティー」という歴史を書いていた。

 沖縄戦には「基地があるところから戦争はやってくる」「軍隊は住民を守らない」「命どぅ宝(命こそ宝)」という教訓がある。県民にとって反対運動は沖縄戦を踏まえた沖縄人としてのアイデンティティーを取り戻すための行為であり、平和学習とは本土とは異なる沖縄のいびつな歴史の過程を知ることだと解説していた。

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 これを読むと、沖縄の平和運動や平和学習は「命こそ宝」から出発したと理解できる。だからこそ今回の事故は絶対に起きてはいけない事故だった。ただ、事故原因の検証と「思想チェック」のようなものが平気で混同されてしまえば、本来必要な再発防止の議論は見えにくくなるのではないか。

 しかし産経の追撃は止まらない。一面コラムでは「こんな偏向教育をする私学にまで血税が使われるのは、とんでもない」(3月30日)、「家族思いの生徒の人生は、左派活動家らによる独善的で無謀な平和学習とやらに奪われた」(4月4日)。

 那覇支局長は「近年まれにみる人災」というコラムを書き、「移設工事の進む辺野古を見学することが、どうして『平和学習』になるのか。何かはき違えてはいないか」(4月4日)。これらからは沖縄そのものに対する激しい感情すら感じた。

 ここまで読んで、新聞好きなら「産経と沖縄」の因縁を思い出すだろう。知らない方のために少し振り返っておきたい。