産経は転覆事故を「人災」と書いたが、それでいえばデマ被害も酷い。沖縄タイムスは事故翌日の社説で「事故を巡る誤情報や誹謗中傷がインターネット上などで広がることがないよう注意したい」と書いた。しかし『転覆事故巡り誤情報拡散』(沖縄タイムス4月9日)などデマや誹謗中傷を伝える記事が後を絶たない。これも「人災」だろう。

高校には「責任を取って死ね」という言葉が

 例を挙げるなら「高校生に基地への抗議活動をさせた」「県の予算で実施している」「定員オーバーだった」「宿泊先(民泊)の思想が極端すぎる」「旅行社とオール沖縄結託」や、亡くなった生徒の尊厳をおとしめるコメントや生徒・学校への誹謗中傷・デマが多数あったという。高校には「責任を取って死ね」という言葉が電話やメールで投げつけられた。

同志社国際高校 ©時事通信社

 ところがである。産経新聞にはこうした誤情報や誹謗中傷の拡散そのものを問題として扱った記事は見当たらないのである(4月27日時点)。京都・南丹市の事件での誹謗中傷には警鐘を鳴らす記事を書いているのだが沖縄はスルー。今回の沖縄に関してあれほどの報道量があるにもかかわらずである。

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 辺野古転覆事故で「メディアはなぜ産経新聞ほど報道をしないのか」にもう一つ付け加えるならば、「産経新聞はなぜ沖縄へのデマや誹謗中傷問題を報じないのか」という問いも浮かび上がってくる。

 今回の事故で大事なのは、誰かを罵倒することではない。沖縄戦の惨禍を知り、ここまでの歴史や現状を学ぶ重要性があるのは間違いない(それは修学旅行生に限らないが)。だからこそ問うべきは、校外学習としての安全管理をどう徹底するかという原点の問題ではないだろうか。
 

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