その「事件」は2017年12月、沖縄で起きた。沖縄自動車道を走行中の米海兵隊曹長の男性が、意識不明の重体となる人身事故があった。産経新聞は「曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った」という内容の記事を掲載した。救出を報じない琉球新報や沖縄タイムスについて「報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と書いたのだ。かなり強烈な紙面である。
産経新聞の記事はデマだった
ところが、琉球新報が米海兵隊や警察に取材をするとそのような事実はなかったのだ。産経新聞の記事はデマだった。
ここでのポイントは誤報という点ではない。新聞にも間違いはあるからだ。問題は、沖縄2紙を罵倒したいがために、真偽不明な情報に飛びついて裏取りもせず発信した姿勢である(どうやら元ネタはFacebookだったらしい)。
当時の琉球新報は、検証した理由を次のように書く。
《産経新聞が不確かな「救助」情報を前提に、沖縄メディアに対して「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と書いたことが大きい。産経新聞の報道が純粋に曹長をたたえるだけの記事なら、事実誤認があっても曹長個人の名誉に配慮して私たちが記事内容をただすことはなかったかもしれないが、沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない》
記事の最後は、
《産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい》
基地問題でいろいろな考えがあるのは当然だろう。しかし相手を罵倒したいために事実確認が不十分なまま批判して騒ぐ。これは「なぜ沖縄2紙は辺野古転覆にダンマリなのか」という今回のネット上で溢れる言説の構図にも似ていないだろうか。
最後に重要な発見も書いておこう。今回の件で報道量の多い沖縄2紙と産経新聞を読み比べると決定的に大きな違いがあることに気づく。