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97歳まで美容師を続けることができた
そして、元気でいるための努力を惜しみませんでした。100歳目前まで、自分の力で歩き続けられたのは、何より本人の努力が大きかった。
90歳になる少し前からは、足腰を保つために早朝の散歩を日課にしていました。朝の4時から2時間ほどかけて、近所の土手を歩いたのです。
私も一生懸命に歩く母の姿を見たことがあります。仕事に出かけるため車で走り出すと、雨が降っていて外を歩けなかったのでしょう、家のすぐ近くの地下鉄の階段を昇り降りしているのです。その姿を見ながら胸が締め付けられるような思いがしました。
その努力のかいもあって、97歳まで美容師を続けることができました。引退した理由は軽い脳梗塞とお客様の高齢化です。新規のお客様を取りませんでしたから、一人またひとりと常連さんがいなくなった。とうとう最後の一人になってしまったのですが、その方のためだけに店を開けていたのです。
そんな状態が1年は続いたでしょうか。私と妹は「その方だって本当は来たくないかも知れない。あぐりさんがやっているから悪いと思ってわざわざいらしてるかもよ」と母を説得して、なんとか納得してもらいました。
仕事への情熱は引退後も衰えませんでした。私には言わないのですが、家を訪ねて来てくれた友人に、「何かやりたい事はあります?」と聞かれると、「(仕事がしたくて)腕が鳴る」と答えていたそうです。