1億円プレーヤーになって、生活はどう変化した?

「一歩を始める前は、おにぎりを1つ買ってきて、3つに分けるんですよ。それを朝昼晩、食べていました。食費は1日80円ですよ。それが当たり前だと思っていました。一歩が売れて、コンビニの弁当を買えるようになりました。食事はいまだにコンビニの弁当です。おいしいので、まったく問題ないですよ。マンガを描く環境さえあればいいんで」

 確かに1日80円からコンビニ弁当は、大きなステップアップだ。それにしても、地味すぎる。大金を得て金銭感覚がおかしくなりませんでしたか? と尋ねると、森川さんは「ならないです」と即答した。

「なにも買いませんでした。無駄遣いもしなかったし。引っ越しはしましたけど、それぐらいですね」

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 マンガ家ドリームを叶えた森川さんが唯一したことといえば、アシスタントの給料を上げること。税金対策の意味もあったが、自分の仕事を手伝ってくれるメンバーにしっかりと報いたいという思いも強かった。

「最初の頃は月給15万円ぐらいしか払えなかったんですよ。それを50万、60万まで上げました。ボーナスも半期ずつ出しているので、年収900万円ぐらいかな」

 これだけの収入を得られる職場は、一般企業でもごく一部だ。アシスタントにとってもいい職場なのだろう。なんと、『はじめの一歩』の連載開始時に集った3名がいまも森川さんを支えているという。途中で新人が加わったが、森川さんが1日で帰したそうだ。

「ダメだこりゃと思って、すぐに帰しましたよ。人の手伝いをしている場合じゃないと思って。彼もただモノじゃなかったですね」

 それは、のちに『め組の大吾』を大ヒットさせる曽田正人さんだった。

次の記事に続く 「僕は絵が上手くない」それでも140巻以上続く超人気マンガに…『はじめの一歩』作者(60)が語る、35年以上にわたって連載を続けられた「原動力」

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