2月28日、アメリカ・イスラエルの攻撃で始まったイラン戦争。イラン国内の死者数は3000人を超え、原油価格の上昇により、私たちの生活にも影響が及ぶ。未来はどうなる? 池上彰が中東研究者・高橋和夫氏を直撃。現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月30日(木)発売の「週刊文春」に掲載された対談の一部をお届けします。(4月13日収録)
ホルムズ海峡の封鎖は中国への圧力に
池上 イラン情勢は、戦闘の終結に向けた協議が進展しません。先が見通せない中、イランがホルムズ海峡を封鎖したのに対抗して、まさかトランプ大統領が逆封鎖するとは思いませんでした。
高橋 オプションのひとつにあるだろうな、とは考えていました。
池上 なぜですか。
高橋 イランや中国の船だけ通して他の国の船を通さない事態は、トランプ大統領が許さないでしょうから。それでもたぶんやらないだろうと思ったのは、完全に封鎖してすべてのタンカーを通さなくしたら、石油の価格がさらに上がってしまうからです。
アメリカでガソリン価格が上がれば、11月に中間選挙を控えた共和党の議員たちは「もう勘弁してくれよ」と怒ります。トランプ大統領は何を考えているんでしょう。
池上 WTIの原油先物価格を見ては、発言をコロコロ変えてきましたね。アメリカでは6月後半からホリデーシーズンに入りますから、ガソリンの消費が増えます。トランプ大統領としては、7月4日の建国250周年の独立記念日を迎える前に、決着をつけたいでしょうけど。
高橋 パキスタンを仲介役に交渉しても思い通りにいかないから、追い詰められているはずです。
池上 イランの石油は、中国がたくさん買っています。トランプ大統領は5月に訪中して習近平国家主席との首脳会談を控えていますから、ホルムズ海峡の封鎖は中国への圧力にもなります。
高橋 そういう計算でしょうけどね。ただ、アメリカ海軍の現場の艦長たちは頭を抱えていますよ。
池上 そもそも去年の6月にアメリカとイスラエルがイランを攻撃した12日間戦争で、トランプ大統領は「核施設は完全かつ徹底的に消し去られた」と言い、国防総省の国防情報局が「核開発を数カ月遅らせた程度だ」と反論したら、責任者をクビにしました。あのとき破壊したと言ったのが本当だったら、今回攻撃する必要はありませんでした。
高橋 そうなんです。言っていることが全く矛盾していますが、その矛盾を気にしないのがトランプ大統領です。
《この続きでは、これからの情勢予測やトランプ大統領が注視している「3つのM」について語っている。対談の全文は現在配信中の「週刊文春 電子版」および4月30日(木)発売の「週刊文春」で読むことできる》



