ひときわ注目を集める“ショー”

 キャナルシティ博多の中で、ひときわ熱気を帯びている場所がある。地下1階の中央を流れる運河のサンプラザステージだ。ここでは、開業当時から続く噴水ショーが毎日開催されている。夜には、プロジェクションマッピングと音響、照明演出が加わった「キャナルアクアパノラマ」へと進化し、観客を魅了する。

多くの観客が噴水ショーを見守る。取材当日はイベントが開催されていたこともあって、普段よりも人が集っていたが、平時も多くの観光客で賑わうという

 失礼を承知で書けば、ささやかな規模だ。しかし、この水辺には常に多国籍の人々が腰を下ろし、歓声を上げている。取材で訪れたのはGW真っ只中だったが、施設関係者によると、平時でもショーには多くの人が集っているという。

噴水ショーを動画に収める人が目立つ

 ショーが終わったタイミングで、その場にいた外国人観光客に声をかけてみた。

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 台湾から家族旅行で訪れていた女性はこう語る。

「純粋に買い物をしたいだけなら、東京に行きます。でも、私たち家族はそういう旅行を求めていません。美味しい日本食をランチで食べて、ぶらぶらして、疲れたらベンチに腰掛けながら噴水を眺めて……。そうしていると、大抵夜になっているので中洲の屋台街に向かいます。スローな時間をただ過ごす観光が心地いいんです」

館内に現代美術家ナム・ジュン・パイクの大型作品が

 また、韓国から恋人と訪れていた20代の男性は、どこか感慨深げに運河を見つめていた。

「実は、僕が5歳の時に両親に連れられて初めて海外旅行に来たのが、福岡だったんです。そのときはこの噴水の中に入ってびしょ濡れになって。親にひどく怒られたときのことを彼女に話していました。それから20年くらい経って、久しぶりに来たんですけど、昔と全然変わっていなくて、興奮しました」

「モノ」を買う場所から、「時間」を過ごし、「記憶」を刻む場所として、稀有な立ち位置のショッピングセンターに成熟しているということがうかがえる。