問題の根本は「消費者の魚離れ」ではない?

 筆者と同じく、スーパーで魚を買う際に「品揃えが寂しい」と感じる人は多いのではないだろうか。調べてみると、どうやら全国で鮮魚売り場の縮小が進んでいるらしい。

 2025年版「スーパーマーケット年次統計調査」によると、前年と比較して水産部門のSKU数(取り扱い品目数)が「減った」と回答した企業の割合は、16.4%に上っている。これは「非食品」に次いで2番目に高い減少率で、畜産(6.1%)・青果(8.2%)と10ポイント前後の乖離があることからも、鮮魚売り場だけが突出して縮小していることがわかる。

 そんな状況を反映してか、近年メディアで「魚離れ」という言葉を耳にすることが増えた。水産庁の令和6年度版「水産物消費の状況」では、国民1人当たりの年間魚介類消費量が、2001年度のピーク時(40.2kg)から約2分の1(概算21.4kg)へと、年々下降の一途を辿っていることが示されている。

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1人当たりの魚介消費量は、2001年度をピークに右肩下がりだ(水産庁公式サイトより)

 日本人は魚を食べなくなってしまったのだろうか。だが、角上魚類ホールディングス株式会社の鶴見雄一さん(経営企画本部 本部長)は、こう切り返す。

「実際は魚離れじゃなくて、売る側がなくなっているだけだと思います」

 根拠として示されたのは、同社の売上高だ。1976年の創業から増収ベースで業績を拡大しており、コロナ禍(2020年3月期)以降の5年間では、売上高が約30%も伸長している。「魚離れ」が叫ばれている一方で、なぜか「魚しか売らない店」が成長を続けている。その理由を紐解くと、一般的なスーパーが「合理的」と判断し、切り捨ててきたものにヒントがあった。