圧倒的な品揃えの売り場、昔ながらの対面販売、広すぎるバックヤード——大手スーパーが効率化の名のもとに手放してきたものを、ことごとく残してきた「角上魚類」。魚離れと言われる時代にあって業績は絶好調だ。
大晦日には深夜から大混雑し、10万本以上のエビ天を売り上げ、熱心なファンからはオープン用の土地の情報とともに「近くにオープンして!」と懇願されることもあるという同チェーンの強さの正体に迫る。
大晦日には深夜3時から大賑わい 「魚離れ」も何のその
2025年の大晦日。街がまだ寝静まっているこの日、1年で最も賑わう店がある。鮮魚専門のチェーン店「角上魚類」だ。深夜3時にもかかわらず、店が開くと待ち侘びていた客が続々と流れ込み、一気に店内は「山手線の通勤ラッシュ並み」に人がひしめき合う。お目当ては、お正月用の刺身や蟹だ。また、年越しそばのお供に、全長20cm超の「ジャンボエビ天ぷら」を求める人も絶えず、この日だけで約12万本が売れた。
角上魚類ホールディングス株式会社の鶴見雄一さん(経営企画本部 本部長)によると、大晦日の深夜営業は毎年恒例で通常の日曜日の約10倍と圧倒的な金額を稼ぐ。文字通り、1年の総決算を迎える日なのだ。
店内に並ぶのは、丸魚(加工される前の1匹丸ごとの状態)・刺身・寿司・惣菜など、すべてが魚関連の商品だ。日用品や他の生鮮食品は販売していないにもかかわらず、同社は1976年の創業から50年にわたり、ほぼ増収増益を続けている。なお、直近5年では、売上高が約30%も伸長しているから驚きだ。
なぜ、魚しか売らない店が、ここまで顧客の支持を集めているのだろうか。

