チラシは「ほとんど使わない」「安売りもしない」それでもなぜ、多くの客が来店?
2026年、同社は埼玉県内で狭山店をすでにオープンしており、鶴ヶ島店も新規出店する見込みだ。そこで気になったのが、販促施策である。来店客の誘引やセールの告知など、定期的に販促チラシを打っているのだろう——と思いきや、既存店には意外にもほとんど活用しないそうだ。
「店で売ってる寿司が1500円だとして、チラシに『1500円』と書いても安いとは思われませんよね。でも、食べてもらったら『この美味しさでこの価格は安い』と感じてもらえます。当社が値付けで意識しているのは、『安売り』ではなく品質に合わせた『値ごろ感』なので、チラシは使いません」(吉田さん)
新規客が来店するきっかけの多くは、既存客による口コミだ。店に足を運び、「値段以上の美味しさ」を感じてくれた方が周囲に勧め、次のお客を連れてくる。あえて挙げるなら、同社の販促活動は「対面販売」と、来てくれたお客さんにPOPや声かけでおすすめ商品を伝えること。来店してもらってからが本番なのだ。
その結果として、競合を寄せつけないほどの圧倒的なリピート率が生まれている。例えば、近隣に新しいスーパーができると、一時的に数パーセントの客が離れることがある。だが、3カ月から半年も経つと、客数も売上も全部もとに戻るのだそうだ。
「近くのスーパーで肉と野菜を買ったあと、最後にうちで魚を買う。そういうルーティンができているみたいです。なので、近隣に他社のスーパーがあるかないかという点は、恐らく当社の出店基準にはありません」(鶴見さん)
ここまで運営体制について話を聞いてきたが、1つの疑問が頭に浮かんだ。品質管理の難しい鮮魚を大量に扱い、対面販売を継続し、売り場と同じ面積のバックヤードを保有する。どれもコスト増につながる要素だが、なぜ増収増益を続けられているのか、という点だ。
