日本は「前頭葉バカ社会」である

経済成長のためには、思考力も鍛えられていました。有名なトヨタの「カイゼン」に象徴されるように、より生産性を上げるための現場レベルでの提案が奨励され、みんなが「自分の頭で考えて少しでもよくする」という文化が企業内に定着していたのです。

また、ソニーのウォークマンやホンダのスーパーカブなど、日本企業の創造性は世界を驚かせました。かぎられた資源や技術を使って「どこにもない新しいもの」を生み出せたのは、日本人に柔軟な発想力があったからでしょう。

こうして振り返ってみると、高度経済成長期の日本は意欲、思考力、創造性といった前頭葉の機能がフル回転していたように思えます。しかし、それもバブル経済の崩壊とともに止まってしまったのではないでしょうか。

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バブル崩壊後の日本経済は長い不況が続き、いまだにそれから抜け出せていません。そうなった原因はいろいろあるでしょう。しかし、この「失われた30年」をもたらした最大の要因は、日本人の「前頭葉の衰え」にあると私は思います。意欲も思考力も創造性も、それどころか社会を構成するのに不可欠な共感性をも感じられない現在の日本は、いわば「前頭葉機能不全社会」、もっと卑俗な言葉でいうなら「前頭葉バカ社会」なのです。

高度成長期の職場は20代だらけだった

高度経済成長期と呼ばれているのは、おおむね1955年から1973年まで。それ以降、高齢化が進んでいることを考えれば、日本社会そのものの前頭葉が衰えたように見えるのも当然かもしれません。

高度経済成長期の後半にあたる1970年の日本人の中位数年齢は29歳でした。つまり、30歳でも「後輩」のほうが多いぐらい全体的に若かったのです。その中位数年齢が2026年には50歳まで上がります。いまや40代でも、相対的に「若手」のポジションになったということです。

でも、社会の中で「若手」に位置づけられるからといって、心身が昔の40代より若いわけではありません。生物学的な衰えが始まるタイミングは、昔もいまも同じです。