今回は、以前から不思議に思っていた「言説」について書いてみたい。それは「売れなくなった芸能人・芸人は左傾化する」である。「売れない芸能人は左翼になる」という言い方もSNSやネットではよく見かける。芸能人が政治や社会問題について口にするとこうした言説が飛ぶ。
「辺野古報道読み比べの大きな気づきはそこにあった」
※注 「右翼」「左翼」「保守」「リベラル」といった言葉の定義は簡単ではない。まして他人を断定するには慎重であるべきだと思うが、今回は論を進めるために便宜上そのまま使わせてもらう。
「売れない芸能人は左翼になる」というのは、権力に対して何か言えば仕事につながるというニュアンスにも思えるが、そんな需要と供給があるなんて聞いたことがない。だからずっと不思議だった。
しかし最近、筆者(プチ鹿島)が思わず体験してしまったのである。なるほど、こういうふうに作られていくのか、と実感したので報告したい。
まずおさらいをしよう。当コラムは新聞読み比べを中心にしているが、前回は沖縄・辺野古の転覆事故をめぐって「メディアは報じていない」、さらには「沖縄2紙は報じていない」という言説までネットで広がっていたことに注目した。実際に紙面を確認すると、琉球新報・沖縄タイムスはともに、事故原因や安全管理について厳しい論調で検証報道をしていた。
全国紙を読むと、際立っていたのは産経新聞の記事量だった。社説『辺野古沖で転覆「平和学習」はき違えるな』にもあるように、事故原因だけでなく、「平和学習」そのものへの批判、「イデオロギー」「思想」にも大きく比重を置いていた。つまり、「メディアは辺野古の転覆事故を報じていない」を言い直すなら、「なぜ他紙は産経新聞ほど“平和学習批判”をしないのか」という感覚がSNS上で増幅していたのではないか。そのうえで注目したのは、産経新聞が事故後に広がった当事者らへのデマや誹謗中傷については“スルー”していたことだ。辺野古報道読み比べの大きな気づきはそこにあった。
すると後日、産経ニュースに私への「反論」コラムが掲載された。
