「新聞好きとしては、これは哀しい負の連鎖に見える」

「平和学習」批判に回収される語りもあれば、逆に「抗議を続けてほしい」という意思を代弁してしまう語りもある。“どちら側の話か”ばかりが優先されてしまう危うさと隣り合わせではないか。本来いちばん大事なのは、修学旅行中の高校生と船長が亡くなった事故をどう検証し、二度と繰り返さないかという話のはずだ。

 最後に「新聞社とSNS」の問題も書いてみたい。沖縄2紙や全国紙は事故原因や安全管理についても厳しく報じていた一方で、SNSでは拡散されやすい“角度”のついた見出しをあまり付けていない。新聞社のアカウントだから当然だろうが淡々と事実を積み上げる記事は、逆にSNSでは流れにくい。

©mapo/イメージマート

 しかし「産経ニュース」「週刊フジ」などは違った。それこそ皆川氏のコラムの“要約”をSNS向けに切り出し、より角度の強い言葉で拡散していく。皆川氏のコラムは有料なのでリポストしている全員が全文を読んでいるわけではないはずだ。むしろ、全文を読まれにくいという「死角」に乗っていないか。「週刊フジ」はそうしたポストを一日に数回ポストしている(今回自分で実体験した)。そうして私が「運航団体や平和学習を批判するな」と言っているように広めているのだ。

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 これにはインプレッションなどの実利の面もあるのだろう。産経だけの問題ではない。今、新聞の販売部数は落ちている。それならばと新聞社はSNSやネットに力を入れる。すると「こたつ記事」や、感情を刺激する見出し・導入文の投稿ほど、拡散されやすくなっている。

 新聞好きとしては、これは哀しい負の連鎖に見える。新聞社は部数減の中でSNSやネットに活路を求める。SNSでは、複雑な論点よりも、感情を刺激し“敵と味方”をはっきりさせる投稿のほうが拡散されやすい。その結果、「左か右か」「誰の味方か」という“属性”の話へと回収されていく。「こいつはどんな思想か」という敵認定へとすり替わっていく。

 私は今回、自分自身が“属性化”される側を実体験した。「売れない芸能人は左翼になる」という言説も、こうした“属性化”のなかで少しずつ作られていくのかもしれない。大げさではなく、偏見や差別を助長する構図の一端も見た思いだ。この体験談もまた、一つの「メディアウオッチ」なのだろう。

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