イギリスでは聞き返すのが苦じゃない理由

舩橋 イギリスでは聞き返すのが苦じゃないんです。日本だと聞き取れなくて何度も聞き返すと「(そんなに大した内容じゃないから)もう大丈夫」と返されてしまうこともあります。「何回も聞き返してしまった」と申し訳なくなるし、その度にちょっと切ないです。

 ただ向こうはネイティブ同士でもみんな普通に聞き返すから、全然気にならなくて。しかも自分は英語が母国語じゃないから、耳のせいじゃなく英語がわからなくて聞き返してると思われてた部分もあって、聞き返す時の心のハードルがぐっと低くなりました。

 

 あと聞き返したとき、同じ言葉を繰り返すんじゃなく別の言い方にしてくれるのも助かって。現地でできた友人たちは、ある単語が聞き取れなかったら、もっと簡単な単語で説明してくれたんです。

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 これって、日本語でのコミュニケーションでも同じで、例えば「たまご」が聞き取れなかったら「たこ焼きの『た』だよ」って最初の1文字を教えてもらえると、ぐっとわかりやすくなったりします。

留学を経て「もう一度教師を目指そう」と思った

――留学先の大学でも違いは感じたんでしょうか。

舩橋 大学には「ディスアビリティオフィス」という特別な配慮が必要な生徒のための相談窓口があるんですが、緊張しながら耳のことを話したら、まるで雑談するみたいに「ようこそ! よく来てくれたね」「どんな配慮があればいい?」ってどんどん手続きを進めてくれて。

 制度としてもちゃんと整っていて、個性のひとつとして普通に受け入れてもらえてるんだなって、いい意味でカルチャーショックを受けました。

 

 そういう友人や学校の配慮のおかげで留学生活を乗り越えられて、ペラペラではないですけれど、英語でコミュニケーションをとりながらご飯に行ったりお出かけできるくらいにはなったし、色んな価値観の人たちと出会って自分の世界も広がって、それが自信になりました。

 留学を経たことでもう一度教師を目指そうと思いました。学校の生徒にだっていろんな子たちがいて、いろいろな価値観を持っている。その中で「難聴の私だからこそ伝えられること、寄り添えることがあるかもしれない」とポジティブに思えるようになったのが、先生になった一番のきっかけですね。

撮影=深野未季/文藝春秋

次の記事に続く 「生徒の声が聞き取れない」「誰が話しているかわからない」“両耳難聴”の女性教師→お天気キャスターに“異色の転身”…気象予報士(28)が語った“転機”

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