「やるな!」と言われた偲ぶ会

 ついでにこの場を借りてお父ちゃんにお詫び申し上げます。「やるな!」と言われていた「偲ぶ会」なんですが、やることにしました。

「あれだけ言っておいたのに、なぜわからんかね。俺の言うことが聞けないなら出ていけ。女郎屋に行こうが野たれ死のうが俺の知ったことか(父が私に激怒したときの決まり文句)」

阿川弘之さん ©文藝春秋

 天井あたりから父の怒鳴り声が聞こえてくるようだ。でもね、お父ちゃん。おっしゃりたいことはよくわかりますけれど、まさかこれほどあちらこちらからたくさんのお悔やみをいただくことになろうとは思いもよらず、少々予測を超えておりましたのですよ。

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 どこであろうと相手が誰であろうと、癇癪を起こしたら止まらない。世間の義理をことごとく嫌い、イヤミかと思われるほど露骨に抵抗する父だった。70歳を超えてまもなく突然、父が深刻な表情で、「ちょっと話がある」と家族に召集をかけたので何事かと思って恐る恐る集まると、「いいか。俺は今後一切、我慢ということをやめる」と宣言した。