オレンジ色のボロ車に乗った女に、15歳の少女が惨殺された事件。手詰まりとなった地元警察に代わり、FBI行動科学課のプロファイラーたちが動き出した。彼らが導き出したのは、いかにして見えない犯人の「怪物の顔」をあぶり出したのか……。

 ここでは、アン・W・バージェス氏他の『怪物の顔 快楽殺人者のプロファイル』(大和書房)の一部を抜粋。緊迫感あふれるプロファイリング会議の全貌を抜粋する。

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はっきりしない目撃証言とオレンジのおんぼろピント

「犯人を目撃した者の証言は?」

 レイ(注:新たに行動科学課に配属されたプロファイラー)が尋ねた。

「うん、そこが問題の1つなんだ」

 ウォーカー(注:レイ同様のプロファイラー)が首を振った。

「アーノルド(注:被害者が最後に会っていた人物。加害者を目撃した)は目撃者としてあまり役に立たない。すっかり気が動転していたらしい。プレートのナンバーも思い出せないし、車の横を走り去った人物についても描写できずじまいだ。言えたのはそれが女性で、髪は茶色のまじったブロンド、ジョギングスーツみたいな服装だったってことだけだ。年齢層さえはっきりしなかった。『年を取ってもいないし、若くもない』それだけ。警察は彼に催眠術をかけることまでしたが、それ以上の情報は引きだせなかった。別の目撃者、カーセックスをしていたカップルは、駐車場の反対の端の隅に車を停めていた。連中が見たのは、被害者がピントから降りて立ち去るところだけだ」

「それがピントだったってことは確かなのか?」

 レイが尋ねた。

「被害者を家に迎えに来て、アーノルドが追跡した同じピントだった?」

 ウォーカーは一瞬むかっとした表情を浮かべた。

「被害者を迎えに来たのはオレンジのピントだった。教会の駐車場で目撃されたのもオレンジのピントだ。ここでも、あそこでも、目撃されたのはオレンジのピント。同じ車だよ。もしもっと証拠が必要なら、傷やへこみだらけのそれを見た大勢の目撃者がいる。おんぼろだったんだ」

 私は横目でダグラス(注:FBI行動科学課の特別捜査官)がにやりとするのを見た。彼が何をしようとしているのか、私にはわかった。ここでジョークを一つ口にするか、何か軽口をたたいて、室内の張りつめた空気を緩めようとするだろう。