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蔓延する麻薬
また、麻薬の蔓延も深刻だ。治療薬が手に入らない市民が「救急薬」として常備しているケースが数多くみられるからだ。韓国統一研究院の「北韓(北朝鮮)人権白書2020」は、「(北朝鮮で覚醒剤を意味する)ピンドゥが抗生剤として使われ、70~80%の人々が使っている」とする16年8月に両江道恵山から逃れた脱北者の証言を紹介した。
韓国政府はかつて、金正恩朝鮮労働党総書記の兄、金正哲氏がバスケットボールでひざを負傷した際にモルヒネを使ったことがきっかけで、麻薬や覚醒剤を使うようになったという未確認情報も入手していた。2019年9月に韓国に亡命した北朝鮮の劉現祐・元駐クウェート臨時代理大使の著書「金正恩の隠された秘密金庫」(東亜日報社)によれば、金正哲氏は2006年ごろ、ロイヤルファミリーの秘密資金を扱う党39号室にやってきて、「アヘンをくれ」とせがんだことがあったという。
北朝鮮が医療制度を現実に合わせても、社会福祉よりもロイヤルファミリーの統治や軍事に予算を集中するシステムを変えない限り、医療事情が好転することはないだろう。
