5月1日に日米同時公開され、大ヒット中の映画『プラダを着た悪魔2』。日本でも、公開2週間にして興行収入は30億円を超えた。
一方で、公開前には一部シーンが炎上する事態も。主人公・アンディ(アン・ハサウェイ)のアシスタントとして登場したアジア系女性の外見とキャラクター描写が、「アジア系のステレオタイプ」だとして、在米アジア系だけでなく日本、韓国、中国など世界各地で批判の声が上がったのだ(前編で詳報)。在米ライターの堂本かおる氏が、ハリウッドにおけるアジア系描写の現況について、分析する。(全2回の2回目)
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革新的だった映画『クレイジー・リッチ!』
近年、ハリウッド映画において東アジア系の俳優は、ようやく現代を生きるアジア系アメリカ人の役を演じられるようになった。かつてはアジア史、戦争、カンフー/アクション映画への出演が多かった。これには2018年の映画『クレイジー・リッチ!』(監督:ジョン・M・チュウ)の全米ヒットが貢献しているといえるだろう。
『クレイジー・リッチ!』は、主役レイチェル(コンスタンス・ウー)がニューヨーク大学で教鞭をとる中国系アメリカ人という設定。他にミシェル・ヨー、ジェンマ・チャン、オークワフィナなど錚々たるアジア系俳優が大勢出演している。
アメリカにおけるアジア系のステレオタイプを打ち破る、莫大な資産によって人生を大いに謳歌する大富豪たちの物語であり、ゆえに原題は『クレイジー・リッチ・エイジアンズ(Crazy Rich Asians)』と、アジア人の物語であることをはっきりと示している。
主要キャストが全てアジア系のハリウッド作品というのは1993年『ジョイ・ラック・クラブ』(製作総指揮:オリバー・ストーン、監督:ウェイン・ワン)以来実に25年振りであったことも大きな話題となった。同作は中国からアメリカへと移民して苦労した女性たちと、その女性たちからアメリカで生まれた娘たちとの世代の相違と葛藤、愛と絆を描いた作品だ。
『ジョイ・ラック・クラブ』が当時のアジア系移民の内なる物語を伝えたのに対し、『クレイジー・リッチ!』はステレオタイプに当てはまらないアジア人の存在を派手に、ゴージャスに見せつけたのだった。
