腫れぼったいまぶたに入れ歯まで

 ハリウッド映画でアジア系の現代女性が活躍できるようになるまでには、長い年月が必要だった。

 1950~60年代には、アジア系の登場人物は白人俳優によって演じられた。女性よりも男性が多く、髪を黒く染め、まぶたを腫れぼったく見せるメイクを施し、時には出っ歯の入れ歯まで使われた。これを“イエローフェイス”と呼ぶ。

映画『ティファニーで朝食を』に登場した日系人「ユニオシ」。出っ歯など、原作では触れられていないキャラクター描写について、差別的だという批判がある

 有名なところでは、1961年『ティファニーで朝食を』がある。“ユニオシ”なる名前の日本人男性を白人コメディアンのミッキー・ルーニーが演じた。1956年の『八月十五夜の茶屋』では、のちに『ゴッドファーザー』でイタリア系マフィアのボスを演じた名優マーロン・ブランドが、一重まぶたとなって日本人を演じている。

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 ゆえに1966年に始まった『スタートレック』シリーズのレギュラー、“ヒカル・スールー”役に日系アメリカ人俳優のジョージ・タケイが抜擢されたのは、まさに革新的だったと言える。

 以後、ハリウッド映画に徐々にではあるものの、アジア系が出演し始めた。

ホワイトウォッシュへの批判

 やがて白人がメイクによってアジア系を演じることはなくなったものの、本来はアジア系と設定されていた役を白人が演じる“ホワイトウォッシュ”と呼ばれる事象は今も続いている。だが、多様性および人種や民族のアイデンティティが謳われるようになった近年、配役の人種スイッチは批判を招くようになっている。 

 2015年『アロハ』では金髪碧眼のエマ・ストーンが「1/4中国系、1/4ハワイ先住民、1/2スウェーデン系」を演じ、監督と共に謝罪する事態となった。

 2016年、マーベルのスーパーヒーロー・シリーズでは、チベット系男性“アンシェント・ワン”を白人女性のティルダ・スウィントンが演じた。この配役は物議を醸したものの、スウィントンの演技の秀逸さによって批判が相殺されたと言える。

 2017年には士郎正宗による漫画『攻殻機動隊』を原作とした『ゴースト・イン・ザ・シェル』の草薙素子を白人のスカーレット・ヨハンソンが演じ、これに対しても批判が起きた。

映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)

 いずれにしても映画やドラマのアジア系の役に日系人/日本人の設定は少なく、日系俳優も少ない。これはアメリカにおけるアジア系各グループの人口が関係している。現在、アメリカの全人口うちアジア系は7%(2500万人)であり、そのうち最大多数派は中国系、日系は6位となっている。

1. 中国系(550万人)
2. インド系(520万人)
3. フィリピン系(460万人)
4. ベトナム系(230万人)
5. 韓国系(200万人)
6. 日系(160万人)