見た目問題がテーマの芝居「見るだけじゃなく、自分でも出たい」
――2014年からは「見た目問題」をテーマにしたお芝居の企画・上演をされていますが、改めてはじめたきっかけは?
河除 「こわれ者の祭典」という、アルコール依存症や摂食障害といったいろんな病気や障害の当事者によるパフォーマンス集団を知ったのがきっかけです。見るだけじゃなく、自分でも出たい! と思ったんです。
――今ここでも子ども向けの劇を披露していただきました。劇の途中で仮面を外して素顔をさらけ出すシーンがありましたが、観客であるお子さんの反応も変わりますか。
河除 子どもたちの顔つきが一気に真剣になりますね。仮面を外した途端、「あっ……」ってなるっていうかね。
でも、そのうちにクイズをやったりとかしていると、本当に楽しく参加してくれて。終わったらみんな声をかけに来てくれるがですよ。だから、見られるって大事やなと。
――かつては「見られる」ことでストレスがあったと思いますが、今はまた違いますか。
河除 ふだんは私もマスクをして生活しているくらいなので、もちろん嫌なのは嫌なんですけど、メディアとかに出るのは全然平気なタイプなので、こういう病気の人が世の中にいるんだいうことを知ってもらえるだけでもいいかなって。それによって、同じような悩みを持った子どもたちが生きやすくなるのであれば、自分が消費されるのは全然かまわんのですよ。
かつて自分をいじめてた同級生が、子どもを連れて舞台を見に来てくれることもあったんです。
――どんな話をしたんですか。
河除 自分の子どもに向かって、「お父さんは中学の時、この人をいじめてしまった」って話していて。人ってこんなに変われるんだなと、驚きました。
20歳の成人式の時には、死ぬほど憎かったいじめっ子から、「あのときは、ごめんな」と言われて。その瞬間、すーっと恨む気持ちが消えて、瞬時に「もういいよ」って返せたんです。
――すごいですね。
河除 かといって、別に皆が許さなくてもいいんですよ。ずっと許せないこともあるだろうし、時間が経って気持ちが変わることもあるかもしれないし。ただ自分の場合は、恨み続ける方がきつかったっていうだけで。
「お母さん人生楽しんどるな。俺らも楽しもう」と思ってくれたら
――お子さんは今19歳と23歳ということですが、お母さんの活動をどんな風に見ていますか。
河除 子どもたちも中高の頃は恥ずかしがっていましたが、今はイベントとかの手伝いとか、カメラマンをやってくれたりしてます。
どう思ってるかはわからんですけど、「お母さん、人生楽しんどるな。俺らも人生楽しもう」って思ってくれたらいいなと思ってます。
――差別をめぐる問題について、社会の変化は感じますか。
河除 私は「見た目問題」と言ったりするんですけど、例えば「ユニークフェイス」とか「ルッキズム」いうような言葉も使われていますよね。それはすごく変わったなと思います。
差別が減ったかどうかは何とも分からんですが、いろんな言葉が出てきたことで、「見た目による差別はよくないこと」が少しずつ世の中に浸透してきていることは
よかったかなあと思ってますね。
写真=細田忠/文藝春秋
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