奪われた貞操と「最後の抵抗」、そして…
正午頃、カワムラは江浦隧道を出発した。途中、沼津市内のコンビニエンスストアに立ち寄った際、リンは店内のトイレを利用している。午後1時前には静岡県駿東郡清水町内の別のコンビニエンスストアにも立ち寄り、カワムラは地図を購入するなどした。
そして、カワムラは再び山梨県方面へと車を走らせていた。山中湖畔あたりを走行中、バックミラー越しに後部座席のリンの姿を見たカワムラの脳裏に、再びドス黒い欲望が湧き上がってきた。衰弱しきっていた彼女が多少回復してきた様子を見て、「何としてでもセックスをして目的を達しなければ意味がない」という身勝手な感情を抱いたのである。
午後3時頃。カワムラは強姦に及ぶための場所として、東富士五湖道路付近の側道を選んだ。そこは細く暗く、森の奥へと続く人目のつかない場所だった。ここなら心おきなく強姦できる。車を停めると、カワムラは車内でリンの着衣を脱がせ、抵抗する彼女の足を押さえ込むなどの暴行を加えて反抗を抑圧し、ついに強姦に及んだのである。
拉致されてからおよそ15時間。心身ともに極限状態まで追い詰められながらも、行為の直後、リンは最後の力を振り絞ってカワムラを激しく非難した。日本語で彼女は必死に訴えかけたという。
「警察」、「レイプ」、「誘拐」。
自らの尊厳を踏みにじられた21歳の女性の、当然の怒りと抗議であった。しかし、この悲痛な叫びが、カワムラという男の心の中にあった自己保身という名のスイッチを押し、事態を最悪の結末へと向かわせてしまうのである。
