たとえ構造上に欠陥がなかったとしても、住み始めてからクロスや外壁のコーキング、室内各所での雑な仕上がりが目につくようであれば、「欠陥住宅」とはいわないまでも、粗悪品であることは間違いないことであるからだ。それと、「人件費」については下請け業界にかぎった話ではなく、住宅メーカー自体にいえることも多々ある。

 基本的に、どこの住宅メーカーも完全に分業化しているところがほとんどだが、ローコスト住宅メーカーは高額な坪単価の住宅メーカーほど細かくは分業化されていない。つまり、ひとりあたりの仕事量が多いということ。ローコスト住宅の場合、設計士はいるが、図面は最終的なチェックだけで、実際に作成するのは営業マン。

 事務員もひとりで事務全般からお客さまへのお茶出し、お子さま連れのお客さまのお子さま対応。現場監督は複数の現場管理から、お客さまの仕様決め(キッチン、トイレ、ユニットバス、部屋ごとのクロス、室内建具、外壁、床材……等ありとあらゆるもの)も仕事に含まれている。もちろん営業マンも図面の打ち合わせ、契約から銀行の融資手続き、引き渡しまでの顧客対応と、業務は多岐にわたる。

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©mapo/イメージマート

神経質なお客さまから悲鳴を上げられたことも

 こういったムダを徹底的に省いたしくみを「企業努力」といえば聞こえはいいが、この大きな負担でゆがみも生じる。

 会社は対外的には「“四部一体”(営業、事務、工務、設計)となってお客さまと向き合います」などといっているが、これだけ個人の担当業務が多いと、それぞれ自分の担当業務以外のことは意地でもしたくないというのが本音であり、互いに責任のなすり合いはしても、他部門をサポート等する気はさらさらないという組織ができあがる。

 業務の多さからすると、工務課の現場監督も負けてはいない。

 複数の現場をかけ持ちして完成を急がされる現場監督は、施主検査(引き渡し前にお客さまに建物の室内外を確認してもらうこと)の際にピカピカのリビングでお客さまに説明中、大汗をかきすぎて新しい床を汗でびしょびしょにしてしまい、神経質なお客さまから悲鳴を上げられたこともある。